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マンチェスター・バイ・ザ・シー (2016)

MANCHESTER BY THE SEA

監督
ケネス・ロナーガン
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  • みたログ 2,584

3.77 / 評価:1945件

ケイシーの「心を閉ざす」演技はピカイチ

  • fg9******** さん
  • 2019年4月4日 15時25分
  • 役立ち度 2
    • 総合評価
    • ★★★★★

 …あらすじは、横着をして、解説の次のとおりだけでイイだろう。
 『ボストン郊外で便利屋をしている孤独な男リー(ケイシー・アフレック)は、兄ジョー(カイル・チャンドラー)の急死をきっかけに故郷マンチェスター・バイ・ザ・シーに戻ってくる。
 兄の死を悲しむ暇もなく、遺言で16歳になるおいのパトリック(ルーカス・ヘッジズ)の後見人を引き受けた彼は、おいの面倒を見るため故郷の町に留まるうちに、自身が心を閉ざすことになった過去の悲劇と向き合うことになり……。』
 序盤から寡黙な男リーにそこはかとないものを感じて魅せられる。
 ケイシー・アフレックは、こういった訥々語る役をやらせたら天下一品だなと更に観続けると、徐々に彼の過去が明かされるが、悲劇と言うのも生易しいほどの痛ましい惨事に見舞われていたのだった。
 リーは、自分自身の過失失火により3人の子供を死なせてしまっていたのだった。
 悔やんでも悔やみきれなかったリーだったが、現場検証の結果、彼はお咎めなしとなり罪は科せられないのだった。
 でも、リーは今すぐにでも子供たちの許へと駆け付けたく思い、警官の拳銃を奪って自殺を試みようとするものの、安全装置の外し方が分からずにモタツイテいるうちに警官に拳銃を奪い返されてしまい、子供たちの許へと歩み寄ることは敵わないのだった。
 以来、リーの心は、生前の子供たちの愉し気な面影とともに死んでしまい、「心を閉ざす」という言葉を表象するかのようにして生きるしか術はないのだった。
 そんなリーの心情に関わることなく、時は刻々と流れ進んでいくのだった。
 で、兄ジョーの急死の報が届き、その悲しみを噛み締める暇もなく、兄の遺言で16歳になる甥・パトリックの後見人になるという話が持ち上がるのだった。
 なして?俺が後見人??という疑問が湧くと同時に、忌まわしい想い出の地を訪れなければならない嫌悪感も沸き上がって尻込みしながらも、取り敢えずは故郷の地のマンチェスター・バイ・ザ・シーに戻り、パトリックと接見するのだった。
 このパトリックという少年は、図体はデカいが精神的にはまだまだ子供で、家を去った母ちゃんを恋しがったり、父親が死んだばかりだというのにガールフレンドとのセックスに思いを募らせてばかりいるのだった。
 で、以降はリーとパトリックとの触れ合いを中心に描かれていくが、兄ジョーの葬儀には別れた妻のランディも弔いに現われ、リーと道端でバッタリと出喰わすのだった。
 子供を亡くして別れて以来、久しぶりで会うのだろう。
 ランディは、過去の忌まわしい出来事の呪いの言葉を喚き散らすのかと思いきや、リーをソッと抱擁して、涙ながらに、今でも「愛している……」と呟くのだった。
 リーからすれば、殺して貰いたいほどに罵詈雑言の数々を浴びせられた方がよっぽど今の気持ちに鞭打たれただろうが、全ての咎を洗い流してくれるかのような穏やかな労いの言葉を囁かれたのだった。
 リーの「閉ざされた心」は一気に決壊し、改めて自分の犯した罪の大きさに愕然となり、改めて心底から哀しみを噛み締めるのだった。
 元妻のランディをミシェル・ウィリアムズが演じているが、出番はそれほど多くはなかったものの、このシーンは味わい深くて目頭が熱くなった。
 ラスト、甥っ子のパトリックとのその後の展開に劇的な幕引きはなかったものの、眼の前に立ちはだかる苦難を一歩ずつ着実に乗り越えて生きてさへ行けば、いつしかきっと道は開けてくると思わせるエンディングは押しつけがましさがなくて素敵だったな。
 第89回アカデミー賞主演男優賞のケイシー・アフレックの「心を閉ざす」演技には心を打たれ、リーの心を映し出したかのような海辺の町と音楽も心地良く、琴線に触れる十分に見応えのある作品で4.2点といったところかな。

 (メモ 総レビュー数:3303件、2019年度133作品目)

詳細評価

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