ここから本文です

ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣 (2016)

DANCER

監督
スティーヴン・カンター
  • みたいムービー 210
  • みたログ 475

4.30 / 評価:362件

壊れかけた天才ダンサーの光と闇

  • dk5***** さん
  • 2018年4月2日 18時39分
  • 閲覧数 892
  • 役立ち度 3
    • 総合評価
    • ★★★★★

危うい魅力が漂うポルーニンの素顔、天賦の才が垣間見える子ども時代、ソリスト級のテクニックで3級上の生徒たちを圧倒するバレエ学校の少年時代、そして、ダイナミックでありながらも優雅でしなやかな魅惑的なダンス。ヌレエフの再来といわれる所以がわかりました。

映像に重ねられた本人、家族、友人の語りが効果的で、記録映像と現在の彼の姿が見事に交差して引き込まれます。監督の手腕が光るドキュメンタリーの秀作だと思いました。

ロイヤルバレエ団の退団騒動は憶えていますが、その後ロシアで活動していたことは知りませんでした。日本や他の国なら、英国ロイヤルバレエのプリンシパルの肩書きはそのまま大スターとして通用するのに、ロシアでは素人のオーディション番組からスタートとは。さすが芸術大国は違うと思いました。ちなみに一般的に言われる世界の五大バレエ団は、パリオペラ座、ボリショイ、マリンスキィ(旧キーロフ)、英国ロイヤルとアメリカン・バレエシアターで、5つのうち2つがロシアです。

天才とされる人は、人一倍感受性が強く感性が鋭いようなので心が折れやすいのかもしれません。子どもの頃からバレエしか知らなかった彼は、家族が崩壊して目標を見失った時、どこに助けを求めていいのか分からなかったのだと思います。また、物事を極めようとすると更に奥が見えて底なし沼のようだと言います。天才にしか見えない沼の恐怖。目標を見失い、沼にはまってしまった彼は、薬物に救いを求めてあがいていたのではないかと思いました。

子どものために自分の人生を犠牲にした親。おそらくそれを度々口にしていた母親は彼の重荷だったのでしょう。でも、いつか彼が子どもの親になる時が来たら、彼は母親の愛の深さを知ることができると思います。

ネットで公開されたダンス映像「Take Me To Church」 のメイキングを見て、カメラマンでもある監督のセンスと力量、ポルーニンのダンスを最大限に活かすコレオグラフィがあってこその名作だと思いました。自身の心情をそのまま語っているようなポルーニンの選曲もさすがです。

演出、振付、舞台製作のチームや周りの人々のサポートがあって初めてダンサーは輝く場を持てること、逆に言えば、ダンサーは独りぼっちではないことをポルーニンが心から感じ取れる日が来ればいいと思います。目標を見つけて薬物から脱却できる日が来ることも。そして、世界で唯一無二の彼のダンスをいつまでも私たちに見せてくれることを願ってやみません。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • ゴージャス
  • 切ない
  • かっこいい
このレビューは役に立ちましたか?
利用規約に違反している投稿を見つけたら、次のボタンから報告できます。 違反報告
本文はここま>
でです このページの先頭へ