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ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣 (2016)

DANCER

監督
スティーヴン・カンター
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4.30 / 評価:362件

バレエ界の難題

  • jac***** さん
  • 2019年2月15日 23時16分
  • 閲覧数 528
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    • 総合評価
    • ★★★★★

稀代の天才であろうセルゲイ・ポルーニンの、英国ロイヤルバレエ団電撃退団という衝撃的な事件を起点とし、本人のインタビューを交えて半生に迫ったドキュメンタリー。

ダンスシーンが多く、それだけでも存分に価値がある。英国ロイヤルバレエ団のプリンシパル時代はもちろん、幼少期〜ロイヤルバレエ学生時代の貴重な映像もあり、あれだけ粒ぞろいの中で一際美しく踊る姿には驚愕した。現在の彼のバレエのスタイルの片鱗が見え、努力だけではどうにもならない素質の必然性を痛感せざるを得なかったが、人一倍の努力をしなければ取って代わられる厳しい環境であることには間違いなく、体を酷使しながら並々ならぬ練習を重ねバレエに費やしてた彼の人生には尊敬の念に堪えなかった。

プロのバレエダンサーになるにはとんでもなくお金がかかる。
ポルーニンのようなウクライナの一般家庭の収入では経済的負担はかなり大きい。家族は彼の才能に全てをかけ稼ぎに出るが力尽きてしまい、ポルーニンは踊る目的を失い始める。その上、自身がプロになっても見合った収入が得られるわけでもなく、バレエ団との契約などで自由がない生活の窮屈さもあり、苦悩の末突然の退団に至る。過去にもシルヴィ・ギエムがこうした問題でパリ・オペラ座バレエ団を退団した件があったが、この映画ではフリーランスが成立しないバレエ界への疑問の声を上げている。

もちろんバレエ団の経営側もダンサーの給与は上げたいだろうが、興行収入あっての世界、チケット代を上げるのも難しい。おそらく今後も、バレエ界のみならず古典芸術の世界はこの問題に直面し続けるのだろうと思った。

そんな問題も孕みつつ映画の話に戻る。
退団後はアメリカに拠点を移そうと目論むも、問題児扱いがネックになり断念。そこはやはりアメリカの契約社会の壁か。
一転してロシアで一から出直し。素人同然の扱いであったがやはり頭角を表す。イーゴリ・ぜレンスキーのバックアップのもと、活躍の場を広げ、自分自身を取り戻しながら求める作品を踊っていく。

ポルーニンは現在も様々なダンス作品や映画にも関わりながら、ダンサーの支援財団を立ち上げた。ダンサーたちの未来のためにこの映画が活動を後押ししてくれれば本望だと思う。

個人的な欲を言えば、クラシックバレエの主役を踊るポルーニンが日本で見られれば最高なんだけど。

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