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バーニング・オーシャン (2016)

DEEPWATER HORIZON

監督
ピーター・バーグ
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3.52 / 評価:1381件

真の原因と責任はどこに

  • UrbanDockGoer さん
  • 2017年4月27日 4時40分
  • 閲覧数 2430
  • 役立ち度 18
    • 総合評価
    • ★★★★★

この事故は良く覚えている。2010年4月20日発生ということだが、原油が流出し続けている5月に現場にほど近いヒューストンにたまたま出張した。 事故発生から2~3週間経過していたがTVニュースでまだ大きく取り上げられていた。 


【物語】
マイク(マーク・ウォールバーグ)は海洋石油掘削会社の機械技師。メキシコ湾沖で石油掘削のための海上施設DEEP WATER HORIZONで勤務していた。施設は石油産出開始直前の最終試験段階まで来ていた。

最終テストを慎重に進めようとする現場責任者ジミーと日程遅れをリカバリーし、1日も早く石油産出を始めたい発注主石油メジャーBPの現場駐在員ヴィドリンは対立していた。

最終確認テストも、一部に疑問のあるデータを確認しつつも、ジミーが席を外している間にBP駐在員は現場のオペレーターにプレッシャーをかけて先に進めてしまう。

その結果、海底の泥水汲み上げ中に異常が発生。泥水が噴出し、混乱の中、適切な安全確保措置が取られないうちに海底から石油ガスが噴出。やがて大爆発が起きる。


DEEP WATER HORIZONにいた126人の決死の脱出劇が描かれる。



【感想】
まず、事故描写映像の迫力は凄い、いやもの凄い!
実話と言う頭もあって、スクリーンから伝わる緊迫感は半端なく、思わず身を固くすることが何度あったろうか。
“海猿LAST MESSAGE”でも類似の海上設備の事故が描かれたが、その迫力は全然違う!(笑) 

そんなことを思い出してネットで調べたら、この事故の5か月後にその海猿は公開されていた。もちろん、DEEP WATER事故の前に企画・撮影されたはずだが、ずいぶんタイミングが良かったんだな。きっと海猿関係者はこの事故が起きたとき口には出せないけど「グッドタイミング」と内心思ったろうなあ。 






スペクタクル映像の迫力とは別に、考えさせられたのは事故発生までの経緯。 どこまでが実話だか知る由も無いので、全て実話だと仮定して感想を言わせてもらうと、

まず、感じたのは憤り。
一番の悪者として描かれているのは発注者BPの駐在員だが、それよりも責任が重いと俺が思うのは掘削会社の現場責任者ジミーだ。ジミーはBPが利益優先で無理を言っていると感じ、かつデータからも異常を疑っていた。要するに十分すぎるほど危険を予感していながら一番重要な最終テスト中に席を外してしまう。彼がいない間にテストが行われ、電話連絡だけでテスト完了を了承してしまう。いくら部下に呼ばれたとは言っても「今は外せない」よ言うべき状況だった。 

テスト中に席を外したというのが致命的な落ち度であるし、事後の詳細確認さえも怠ったのは責任者として失格だ。 BPのプレッシャーに屈した現場オペレーターも責任を免れない。 自分の経験でも上司や顧客から理不尽と思われる要求を受けることは珍しくないし、こういう状況は社会の常だと思う。だが、一旦ことが起これば上司や顧客に言われたからと言うのは言い訳にならない。 自分の責任において断固として理を通すべきなのだ。仲間が命を落としてからいくら「あいつが悪い」と言っても仲間は帰ってこないのだから。 

とは言うものの、もし自分ならあの場で頑張れたかと言えば・・・
だからこそ、こういう事故の教訓は記憶に刻んでおく必要があると思う。


次に設備的に安全保護機能がお粗末過ぎないか?
俺は石油プラントではないが、プラント設計・建設関連の仕事をしている。そういう常識から言うと、プラント機器で圧力や温度のリミットオーバーは最もありがちで、最も危険な状態だ。 だからこそ、2重、3重に安全が図られている。 そのようなリミットオーバー時の安全確保の動作は人の判断ではなく、自動で機能するのが普通だ。 例えば、圧力が危険域に達すれば、安全弁が開いて圧力を逃がす。温度のリミットオーバーなら熱の供給を自動的に遮断する。

映画では、機械が自動的に安全保護動作することはなく、全てはオペレーターの手動操作だった。 これが本当だったら、現場責任以上に安全設計不良こそが主犯だ。 でも、町工場じゃあるまいし、まさか本当とは思えない。 映画の演出なんだと思う。 そういう設計はされていたのに、保護動作のスイッチが切られていたとか、作動するはずがしなかったとか、なにか想定通り安全設計が機能しなかった理由があったのでは? そういう真の原因究明にも興味が湧く。 次はそういうドキュメンタリー映画を観たい。 





また、映画では触れられなかったが、この事故の最大の被害は人的被害よりも、3か月に亘って大量に流出した原油により人以外の海洋生物・植物にもたらした環境被害だったはず。最後のテロップ解説でもいいから少し触れて欲しかった。


そういう物足りなさもあるものの、映画ならでは大迫力は大いに評価したい。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • スペクタクル
  • パニック
  • 恐怖
  • 勇敢
  • 絶望的
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