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武曲 MUKOKU
2017年6月3日公開

武曲 MUKOKU

1252017年6月3日公開

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5.0

男同士の何か特別なもの

 剣道という武道を武士道の高みにまで昇華させる研吾の父親。その容赦せぬ特訓で研吾は”武士”に成長する。しかし、武士道の極みを垣間見た時、親子の対決は情け容赦ない世界になり、父親は植物人間に・・・。  武士は単なるアルコール依存症の若者に成り下がる。  剣道とおよそ縁のない高校生のラッパーの融は、高校の剣道部の部員にからまれたことがきっかけで、剣道部の顧問光邑師範に剣道の世界に誘われる。光邑師範は研吾の師匠でもあった。  光村師範を介した研吾と融の運命的出会い。剣道の覚醒と恐怖をすべて背負って自堕落と化した研吾。洪水で死と直面し、死に特別な思いを抱く融。稽古によって培われた研吾の剣術と、天性のひらめきで竹刀を自由自在に操る融。燃え尽き症候群の研吾と脳天気を地で行く融。好対照の剣を交えた二人の決闘シーンが胸を打つ。どの時代の話かと錯覚する真摯な映像に心が震える。  研吾演じる綾野剛の意識的な狂気と、村上虹郎演じる融の無意識な正気。知らぬ間に自暴自棄の研吾の救世主と化す融。  『ディストラクション・ベービーズ』で、鬼気迫る柳楽優弥の弟役として不思議な存在感を示した村上虹郎が、再び引き立て役でいい味を出している。  この2人の契りみたいなものは、男の友情と表現するにはとても陳腐に思える。だがどうしても、男同士の何か特別なものにあてはめたいという衝動にかられた。

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