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エル ELLE (2016)

ELLE

監督
ポール・ヴァーホーヴェン
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3.11 / 評価:1,044件

解説

『ピアニスト』などのフランスの名女優イザベル・ユペールと『氷の微笑』などのポール・ヴァーホーヴェン監督が組んだ官能的なサイコスリラー。『ベティ・ブルー/愛と激情の日々』の原作者フィリップ・ディジャンの小説を原作に、レイプ被害者の女性が犯人を捜しだそうとする姿を描く。『ミモザの島に消えた母』などのロラン・ラフィットや『愛されるために、ここにいる』などのアンヌ・コンシニらが共演。欲望や衝動によって周囲を巻き込んでいく主人公を熱演するイザベルに注目。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

ゲーム会社の社長を務めるミシェル(イザベル・ユペール)はある日、自宅で覆面の男性に暴行されてしまう。ところがミシェルは警察に通報もせず、訪ねてきた息子ヴァンサン(ジョナ・ブロケ)に平然と応対する。翌日、いつも通りに出社したミシェルは、共同経営者で親友のアンナ(アンヌ・コンシニ)と新しいゲームのプレビューに出席する。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

(C)2015 SBS PRODUCTIONS ? SBS FILMS? TWENTY TWENTY VISION FILMPRODUKTION ? FRANCE 2 CINEMA ? ENTRE CHIEN ET LOUP
(C)2015 SBS PRODUCTIONS ? SBS FILMS? TWENTY TWENTY VISION FILMPRODUKTION ? FRANCE 2 CINEMA ? ENTRE CHIEN ET LOUP

「エル ELLE」バーホーベン×フランスの大女優の化学反応が、悪女映画の歴史を塗り替える。

 ポール・バーホーベンといえば「ロボコップ」「スターシップ・トゥルーパーズ」など、暴走しまくりのヴァイオレントな作風で知られ、「氷の微笑」では、シャロン・ストーンの足組み替えシーンで見える見えない論争を巻き起こした。そんな監督が、フランスの大女優イザベル・ユペールと組んでフランス映画を撮ったというのは、かなり意外かもしれない。同じように暴力的でも高尚なミヒャエル・ハネケとは異なり、バーホーベンの場合は滑稽なほどのえげつなさが売り物だから。だがこの結果は誰が予想しただろう。「ベティ・ブルー 愛と激情の日々」で知られるフィリップ・ディジャンの原作を映画化した「エル ELLE」は、バーホーベンのタブーを蹴散らす大胆さときわどいユーモアが生かされつつ、フランスのブルジョワ的スノビズム、背徳性や偽善をあくまでソフィスティケイトされたタッチで描いている。

 ビデオゲーム会社の社長であるミシェルは、ある日自宅に押し入った侵入者に乱暴されるものの、警察には届けず、自ら犯人を探し始める。事件をあっけらかんと喋って友人たちを唖然とさせる彼女だが、ストーリーが進むに従ってその屈折度と彼女の暗い生い立ちが明らかになっていく。もっとも、妙に理屈をつけてキャラクターを正当化しようなどと企まないのが、バーホーベンならでは。観客は誰が犯人かというサスペンスを楽しむと共に、ミシェルの驚くべき性格に驚嘆させられ、最後はとどめの一撃を受けてくらくらとしながら劇場を後にすることになるだろう。

 とりわけ感心させられるのは、これがアラサーのいかにもセクシーな主人公ではないということ。大人の女の美しさと威厳に満ちたユペール女史が演じるヒロインは、どう見ても40代以上であり、それが職場の若手男子から、妻子持ちやらイケメン隣人まで、周りの男たちにモテまくり、さらに彼らを手玉に取る。これぞフランス熟女の鑑。悪女映画の歴史を塗り替えるヒロイン像である。

 考えてみればバーホーベンは、初期オランダ時代の「ルトガー・ハウアー危険な愛」にしろ「氷の微笑」にしろ、あの悪評を買った「ショーガール」でさえ、あまり他ではお目にかかれない魅力的な強い女性を描いてきたのも事実。本作はそんなバーホーベンが、恐れ知らずのユペールという最強の共犯者を得て、映画界に一石を投じるものだ。(佐藤久理子)

映画.com(外部リンク)

2017年8月24日 更新

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