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映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ
2017年5月13日公開

映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ

1082017年5月13日公開

ムービークリニック

3.0

ほし みっつ!

都会の人混みと孤独感。おそらく精神的病気を抱えているだろうと思われる日雇いの慎ニ、実家の不甲斐ない父に仕送りするため看護師とガールズバーで働く美香。このふたりのラブストーリー。 ただ静かに流れる恋愛模様。どちらかというとふたりそれぞれの群像劇。特に慎ニの方の仲間達や同級生の女性などの関わりのドラマの方がメインに見える。 とても恋愛物語とは感じない。 この映画にはほぼ笑顔がない。一部美香の回想シーンの母親の笑顔はあるがこれは深い意味はない。観ている方も全くの笑顔が出ない。あと一ヶ所慎ニの同僚の葬式でふたりが出会った時のシーンもあるが、これは照れ笑いと取れる。 楽しい嬉しい笑顔はないのだ。 終盤にふたりで「あの人売れないね」と路上で歌ってる女性のことを言っていたが、本格デビューを宣伝カーで知ることになり苦笑いになる。 笑顔と言えるのはこの場面だけ。 ただこの場面は、意味が薄く疑問だらけの生活で夢もないふたりが、女性のデビューを見て諦めない心と希望と夢を抱くことの重要さを悟ることになる鮮烈なシーンなんだよな。 美香は母の死因のトラウマで『死』というものに疑問と絶望感を持っている。母の死、職場柄身近な人の死。そして知り合いの死。 どうせ死ぬんだからという感覚。仕事は生活のためではあるが本質は父への仕送りだ。 そんな中で、自暴自棄でもなくその日その日を流されて生活していく慎ニの生き方に魅力と生を感じるのだろうね。 ガールズバーでの暗い顔。仕事場の休憩で喫煙所でタバコをふかす。慎ニに振り回されてもなんとなく惹かれる。元カレのプロポーズを断るのは昔の裏切りと母の死(子供を捨てて自殺)の関連か。 原作が『詩』であるから、短文での集合体ゆえその意味は微妙に謎になっている。石井監督脚本の構成力と創作力がうまく世界観出したと思う。 時々美香の声で劇中に『詩』が披露されているが、なかなか意味はわからない。 ただ感覚で捉えて劇中の空気に触れるだけ。 面白い作品でしたよ。 ただ高評価が多い中それほど自分はときめくものは少なかった。もう一度観たいかと言われたら「いや勘弁」というかも。 最近では珍しい、登場人物がタバコ吸いまくる描写は不安感の表現か。

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