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アウトサイダー

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TSCHILLER: OFF DUTY/NICK OFF DUTY

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くそげーまにあ

4.0

ネタバレTV映画シリーズ「NICK」完結編 ほぼ「96時間」

 48年の歴史を持つドイツの国民的TVドラマ「Tatort(事件現場。照準?)」  ドイツ、オーストリア、スイスで事件に遭遇する60人以上の警察関係者を描く群像劇で1話90分。2016年には1000話を突破し、過去には名匠「ヴォルフガング・ペーターゼン」も6話監督してます。(18年4月2日の段階で全1053話+オーストリア版全13話)  2013年に登場した新キャラ、ハンブルクのはみ出し者タフガイ刑事「ニコラス・チラー」は「ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア」「イングロリアス・バスターズ」でも知られるドイツの国民的俳優「ティル・シュヴァイガー」が演じ、主人公とした全4話(邦題 NICK)が製作されました。その続編にして初の劇場公開映画。そして、シリーズ完結編。  日本のレベルの低いアクション映画(近頃は高いのもあるけど)よりはよほど水準が高く、体裁は整っている。とはいえ、ハリウッド平均よりはちょっと落ちる、激しいがイマイチこなれていないロシア映画の良作レベルといった感じ。これは日本以上にアクション映画が苦手だったドイツとしては活気的だと思う。アメリカ中心の批評だと40点くらいです。  正直、平均点のアクション映画だが「功労賞的な意味で4点」です。反面、これまでのドラマ4話を見てないと話がぜんぜん飲み込めない。私もNICKシリーズだと気がつくまでは説明不足に首をひねりまくりでした。4話全部見てないですし、見た作品もほんとに普通。前作でTV版は完結なので本作は邦題ではNICKシリーズと書かれていないという不親切さ。  前作(第4話 邦題「NICK ラスト・フューリー」)でニックは因縁の敵であり、別れた妻を殺した仇である犯罪組織の首領「フィラト」を躊躇いながらも逮捕。フォラトはトルコに送還後、刑務所に収監されたが、トルコ国内では強力なパイプを持つフィラトは、権力者によって既に保釈されていた。妻の死に関してニックを責め続ける娘「レニー(テイルの実娘「ルナ」)」は母の復讐のためにトルコへと旅立った。それを知り、後を追うニック。しかし、レニーはフィラトを保釈した黒幕「シェケル」に拉致されてしまい、またも一足遅れのニック。ところが、復讐相手のはずだった犯罪王「フィラト」は犯罪から、すっかり足を洗っており、ニックにシェケルとロシアの人身売買組織のことを教える。モスクワに連れ去られたレニーを追うニック。ロシアン・マフィアとの戦いが始まる。  原題が「チラー:非番」だけにもうハンブルクどころかドイツも関係ないという間違ったスケールアップの典型のような内容。ドイツ語圏が舞台だった堅実なドラマとは違い、本作は「トルコ」と「ロシア」という舞台といい、妻が殺され、娘が拉致とまるで「96時間」と「ダイハード」の両シリーズの駄作だった作品のダメな要素を無理に混ぜたような印象を受ける。イスタンブールで屋根の上での追跡戦を長々やったら、まんまだったろう。  大人気のヘタレ相棒の「ヤルシン(ファーリ・ヤルディム)」は大活躍でファンにはたぶんうれしい。出てきただけでイラっとくるウザ子で御馴染みの娘レニーはドイツでは人気があるのだろうか? 演技力はあるのかもしれないが、攻撃的で衝動的で後先考えなさ過ぎるせいか日本ではどうも不人気。しかも、アゴ割れで太め。逆に性格が悪くて、美人過ぎないところが娘としてリアルで、そんな娘のために命を張る親バカっぷりに深みを出してくれてる…のかなぁ?  行く先々で何度も逮捕され、人質とったり壁を突き破ったりして逃げる天丼展開はテンポは良くてもちょっと飽きる。140分くらいある映画だし。謝礼をエサに情報集めるニックたちから強盗しようとして、なし崩しに仲間になったあげく、ヤルシンの彼女になる娼婦が非常に可愛くて楽しくて、癒されます。  マフィアの殺し屋が使っていたハーベスター(穀物収穫車両)を奪い取り、モスクワの街中を疾走して警察に追いかけられた挙句、「赤の広場」に乗り捨てという展開には爆笑してしまった。(その後、そのことでメチャ怒られる)  しかし、宿敵だったはずのフィラトはすっかり脇役になってしまったあげく、用済みとばかりに殺されて、ファンにとってはいいのか?    監督は個人的には好きな宇宙の食人族映画「パンドラム」の「クリスティアン・アルヴァルト」 脚本は「es」とハリウッドリメイク「エクスペリメント」の「クリストフ・ダルンスタット」のこれまでどうりのオリジナルコンビだが、この二人はしっかり制限を与えた方が面白い作品が作れて、しかもSF、ホラーだけに適正があるのかも。ちなみに一箇所だけスプラッターがあります。  繰り返しますが、これまでと違った地に足がついてないうえ、あまりに模倣的なシナリオに目を瞑れば、ファンには楽しめる…かも。  とりあえず、好きな人にはたまらないというドラマシリーズを見てからがいいと思います。

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