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LOGAN/ローガン (2017)

LOGAN

監督
ジェームズ・マンゴールド
  • みたいムービー 542
  • みたログ 4,116

3.92 / 評価:3,282件

ウルヴァリンもプロフェッサーももういない

  • i_seraphim さん
  • 2018年6月15日 0時35分
  • 閲覧数 1616
  • 役立ち度 7
    • 総合評価
    • ★★★★★

かつてヒーローだった二人が社会の厄介者になって力尽きていく姿に失望する人たちも多いみたいだけど、ヒーロー物としては俺的に『 キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』以来のど真ん中の映画でした

アクションシーンもあるにはあるんだけど、そこにはスカッとしたカタルシスはないし、作品全体を覆うムードはどちらかというと物悲しいロードムービーといった趣で、期待していたものと違うと感じる人にとってはコレジャナイってことになるんだろう
なにしろ俺がこの映画を見て思い出したのはお気に入りの和製ロードムービー『春との旅』だもん

米国の映画界はいままでもベトナムや中東で懸命に戦った兵士たちが祖国に帰ってきてみると戦中はヒーロー扱いされていた彼らが戦後は社会の厄介者として片隅に追い込まれていく姿をずっと描き続けてきた
『タクシードライバー』や『ランボー』なんかはそういった作品の代表だと思うんだけど、本作も同じ系譜に連なる映画だと言えるだろう
この作品では「共存」という人類が共通して持っていたはずの悲願が無価値とされ失われつつある現在の世界でその理想の実現のために戦ってきたヒーローたちが同じ境遇に追い込まれている姿を見ることになる
911以降の異物への不信と排他性と問答無用の淘汰が支配する世界には彼らの居場所はもうないのだ

この映画にはウルヴァリンもプロフェッサーXも出てこない
ヒーローはもういない
チャールズという偏屈で人のいいおいぼれ老人とローガンという無骨なポンコツ頑固野郎がいるだけだ
天才的なサイキックだって歳をとって耄碌するし、最強の特殊能力の持ち主もその代償として不死性を失い健康を蝕まれていく
そんな二人が身を寄せ合ってひっそりと暮らしているところにもう滅び去ったはずの超能力を持った女の子が転がり込んでくる

いまや特殊能力はトラブルの種でしかないし、ローガンはそれでなくても過去の戦いが自分や自分の身近な人々にもたらした悲惨な結末に心底打ちのめされていたから関わりを避けようとする
しかもこの少女は人間として取り扱われた経験がないから非常に危険な野生の獣のような性質を持っている

それでも結局泥縄式に彼女を連れて逃げ回らざるを得なくなって、いつしか彼女があると信じている「エデン」という名の避難場所を目指してつらく陰惨な旅をすることになる
ローガンは道中偶然目にしたX-MENのコミックブックの中にこの「エデン」が描かれていることを知ってこの旅は無駄な夢物語だと思うようになるんだけど、たどり着いてみると驚いたことにそれは本当に存在している
このコミックの内容を信じた特殊能力を持つ子どもたちが本当にこの場所に避難場所を作っていたのだ
ローガン自身が信じることのできなかったX-MENの世界が極秘施設で軍需品として製造され非人間的な環境で飼育された子どもたちにとっては心の拠り所であり支えだったことを知り、彼の中で変化が起きはじめる

劇中TVで『シェーン』が流れているシーンがあるんだけど、この映画から少女が人間としての生き方の一端を知る過程に本当にそうなんだよな、と思ったよ
いい映画は人の生き方や人としてのあり方を変えてしまう力を持っている
これが物語の持つ力なんだよな

本作の敵役は国とズブズブの関係で治外法権的な影響力を持つほど巨大な食品会社で、消費者が知らない間に遺伝子レベルで体質に影響を与える食品を流通させていたり科学と進歩の美名のもとに非人道的な支配のための道具として食品を使ったりしてるんだけど、これって明らかにモンサントをイメージしたものだったりして、そこからも製作者のタブーを恐れずに社会正義を求める気骨が伝わってくる作品でした

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

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