ここから本文です

いつまた、君と ~何日君再来(ホーリージュンザイライ)~ (2017)

監督
深川栄洋
  • みたいムービー 97
  • みたログ 473

3.32 / 評価:402件

「バラは、やっぱり野ばらがイイな」

  • fg9***** さん
  • 2018年5月14日 15時36分
  • 閲覧数 628
  • 役立ち度 0
    • 総合評価
    • ★★★★★

 …あらすじは、横着をして、解説の次のとおり。
 『81歳になった芦村朋子(野際陽子)は慣れないパソコンを操作して、亡き夫・吾郎(向井理)との日々を、「何日君再来」と題した手記として残そうとしていた。
 だが、彼女は病に侵され、代わりに孫の理(成田偉心)が手記をまとめることになる。
 そこにはこれまで家族が知らなかった祖父母の苦難の歴史が記されていた。』
 向井理が祖母の卒寿(90歳)の記念に家族らと自費出版した祖母の手記を自ら企画し、その映画化を深川栄洋監督が務めた作品らしい。
 ということは、このあらすじの中の「孫の理」が向井理本人なのだから、これを向井理自らが演じて、祖父役の吾郎は別の俳優が演じた方が良くはない?なんて思ってしまったが、そんなことはどうでも宜しいことで、祖母の朋子の波乱万丈の人生を綴った物語だ。
 朋子の過去パートを尾野真千子が演じ、現代パートを野際陽子が演じているが、なんと本作が野際陽子の遺作となってしまうとは、誠に残念だったな(合掌……)。
 戦後、南京から帰国を余儀なくされた吾郎・朋子夫婦と3人の子供たちが貧しいながらも懸命に生きた実話だ。
 最初は朋子の故郷の愛媛に身を寄せるが、その実家も貧しい農家なので喰うのもかつかつの生活状況だ。
 吾郎はお坊ちゃん育ちだったので野良仕事は性に合わなかったが、それでも汗水を垂らして懸命に働けども、朋子の父親(イッセー尾形)からは食い扶持が増えるだけでなんの役にも立たないと厄介がられるばかりだった。
 で、上京(茨城だったか?)して、オンボロ・トラックを手に入れて運送屋を始めるが上手くいかず、知り合いから送られてきたテングサでところてん屋を始めると若干商売は繁盛したが、近所に色々な店が増え始めて頓挫してしまうのだった。
 その後、福島・大阪に移って別の商売に手を出すが、吾郎は大怪我をして仕事に専念できず……その後、大病を患って亡くなってしまうのだった。
 それでも朋子は女手一つで3人の子供を養っていかねばならず、漸く住み込みの賄いの仕事を紹介されるのだった。
 でも、3人の子供全員の面倒をみるのは敵わなかったので、末っ子の娘・真美を愛媛の実家に預けざるを得なくなってしまうのだった。
 長じた真美を岸本加世子が演じているのだが、彼女が盛んに母ちゃんに捨てられたと言っていた理由がこれなのだった。
 これに至る背景にあるエピソードはなかなか胸に迫り来るものがあった。
 夫婦仲のイイ吾郎と朋子にも夫婦としての危機はあったのだ。
 仕事も何もかも上手くいかなくなった吾郎は、捨て鉢になって朋子に別れ話を切り出すのだった。
 でも、吾郎を一途に愛する朋子は、引き下がらずに懸命に吾郎を励ますのだった。
 そんな朋子に、吾郎は次のように言って、野原に咲いていた一輪のバラを差し渡すのだった。
 「バラは、やっぱり野ばらがイイな。清潔で美しい。」
 朋子はその野ばらを吾郎のスケッチブックの中に押し花にして、吾郎が亡くなった後も後生大事に大切に仕舞っていたのだった。
 その夫の愛が一杯に詰まった大切なスケッチブックを、朋子は真美を実家に預ける時に真美に託したのだった。
 そんなこととは露知らずの、盛んに母ちゃんに捨てられたと言っていた真美がそのことを知った時、何十年ぶりかで母・朋子と心を分かち合える場面は、若干ウルウルとしてしまったな。
 エンディングの歌は高橋充希とあり、非常に聴き応えのある歌唱力だったので調べてみたら、元々はミュージカル出身なんだな。
 道理で上手な筈だ。
 戦後の苦難の時代を懸命に生きた一つの家族の物語だが、派手な演出も大きな盛り上がりがある訳ではないものの、直向きに生き続けた夫婦・家族の思いが静かに胸を打つ、一見の価値は十分にある3.6点といったところかな。

 (メモ 総レビュー数:2967件、2018年度152作品目)

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • ロマンチック
  • 切ない
このレビューは役に立ちましたか?
利用規約に違反している投稿を見つけたら、次のボタンから報告できます。 違反報告
本文はここま>
でです このページの先頭へ