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赤毛のアン
2017年5月6日公開

赤毛のアン

L.M. MONTGOMERY'S ANNE OF GREEN GABLES

892017年5月6日公開

全日本福耳友の会

1.0

ネタバレ途中で帰りたくなった

アンの世界を映像で見るならば、ミーガン・フォローズがアンを演じる1986年発表の『赤毛のアン』をお勧めします(続編は少々アレですが)。こちらの方が遥かに素晴らしい作品です。少なくとも、原作を御存知ない方に誤解を招く内容はありません。 で、今回の『赤毛のアン』。島の風景、可愛い衣装、グリーンゲイブルズをはじめとする建築物、家具など、ディティールそのものは素敵なアンの世界です。なのに、話も登場人物のキャラクター設定も全てがブレブレで全く感情移入出来ません。監督、脚本家、日本語字幕製作者は果たして原作を読んだことがあるのでしょうか。 プリンス・エドワード島の観光プロモーションフィルムと思って見ようと努めましたが、いかんせん、原作への愛とリスペクトが微塵も伝わって来ないので、お金と時間を使って、自分は何故映画館の椅子に座っているのか分からなくなってしまいました。モンゴメリの孫娘が制作に関わっているそうですが、どうしてこうなった?(孫娘は原作誕生100周年の年にモンゴメリの自殺を公表したという人物) 列挙すればキリがありません。細切れエピソードが脈絡なく繋がっている中、全ての元凶はアンがマシュウとマリラに正式に引き取られる下りが最後まで全く出てこないところ。 つまりは、グリーンゲイブルスは仮の預かり先という設定のまま話がどんどん進んで行くので、アンと他の登場人物達との心の交流を描いているつもりであっても、全てが嘘になってしまう。で、何でラストに肝心要のそれを持ってくるわけ??この映画はカット版で後から完全版が出るのだろうか。 キャラクター設定がメチャクチャと書きましたが、アンの聡明な魅力が描けていないことが非常に残念。原作には無い氷の湖に落ちるシーン、あれは一体何?!名誉のために屋根から落ちて気絶するシーン、オフィーリアになりきって流されるシーン、この二つを融合して出来上がったのがあの氷のシーンなのだろうか。スケキヨが突如現れるのには笑ったが、アンの動機が不明なので、あれではただのお馬鹿さんです。 ちなみに、夕飯までに帰っておいでというマリラが鍋からお皿によそっているのは、今まさに始まろうとしている夕飯のポリッジではないのか。それともオヤツ?時系列もワケが分からなかった。 教会に出掛けるシーンも夕方のような日の傾き。それとも朝焼け?礼拝にそんなに早朝から出掛けるのか。 アンの誤解を解くに重要な役割を果たすミニー・メイ(字幕では"妹”となっていた)が突然登場したり、極めつけは、アンがマシュウにパフスリーブのワンピースをおねだりするシーン。アンがマシュウに直接お・ね・だ・りとな。怒りが込み上げるよりも、もう脱力。ギブ。 ダイアナとの友情の誓いに至るまでの下り、マシュウのキャラクター設定、不器用な老兄妹がアンの天性の魅力と聡明さに惹かれていく過程、魅力的なギルバードと、その関係性の変化、この映画の中でこれらを期待してはいけません。心底ガッカリします。

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