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【劇場版】 嘆きの王冠 ~ホロウ・クラウン~/リチャード二世

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2.0

ネタバレカラー化?+台詞の違和感

このホロウ・クラウンシリーズはシェイクスピア戯曲の映画化作品である。 全七作品中リチャード二世はその第1作目に当たる。 セットや衣装などは豪華だが筆者には大きく2点の違和感を感じた作品であり、おそらくそれは本作がシリーズ1作目ということを考えると7作全てを通して感じることであろう。 今年押井守のアニメ作品『攻殻機動隊/GOHST IN THE SHELL』がハリウッドで実写リメイク作品として公開され、主役の草薙素子役をスカーレット・ヨハンソンが演じた。 またこれから日本で公開予定の漫画原作の『DEATH NOTE』の主役夜神月をナット・ウルフが演じている。 古い話だと『DRAGONBALL EVOLUTION』の主役孫悟空をジャスティン・チャットウィンが演じた。 いずれも日本人役を白人が演じたということでホワイトウォッシュという問題になっているらしい。 ソン・ゴクウという名前でチャットウィンが演じたことに違和感は感じるが、草薙素子にはそれ相応の設定を用意していたし、夜神月に至っては名前自体がを変更されている。 作品の設定自体がSFであったり、架空世界であるため、いずれにしろ筆者はこのホワイトウォッシュをそれほど気にしたことはない。 しかし、本作では、歴史的に白人しか存在しない世界に黒人やアラブ系などが騎士として登場してくる。 同じシェイクスピア作品でもムーア人「オセロ」を黒人が演じるのとは訳が違う。中世イギリスを舞台にするならありえない設定である。 もしキング牧師の映画において主要な取り巻きの一人に白人がいたらどうなるだろうか? 前述したオセロを白人が演じたら? おそらくホワイトウォッシュと言われるに決まっている。ならば逆もしかりである。 さらに筆者が問題だと思うのは、ホワイトウォッシュの反対、カラー化とでも言おうか、この現象がハリウッドを中心にして近年一般的であるということだ。 今年公開された映画だけ取っても『美女と野獣』『キング・アーサー』において同様の事例がある。 両作品ともに黒人に加えて東アジア系が登場するものの違和感しか感じない。 筆者の場合、内容の善し悪し以前で作品に入り込めなくなる。 紀里谷和明監督作品の『ラスト・ナイツ』も中世騎士ものだったが、やはり雑多な人種が入り乱れていた。 ただこちらは忠臣蔵を翻案した架空の騎士ファンタジーなので許せる範囲だろう。 もし多様な人種で制作したいなら翻案して架空か現代の設定にするべきである。 ハリウッドはとても政治的な場所である。はやりのポリティカル・コレクトネスの1つには違いないだろうが、あまり行き過ぎると作品の風味を損ねてしまうように筆者は感じる。 そしてもう1点、シェイクスピアの原作の『リチャード二世』を読んだことがないので詳しくは知らないが、おそらく登場人物が交わす台詞は原作をそのままを使用しているように思える。 現代にシェイクスピアの戯曲を読んでいる人々はどのくらいいるのだろう? 本国のイギリスではどのくらい読まれているのだろうか? シェイクスピア作品における台詞は豊かな比喩に彩られていて本として読む分には素晴らしく感じる。 シェイクスピア存命中のイギリスでは舞台演劇として最先端か流行だったのだろうが、当時と今とでは違う。 現代のテンポに照らして考えると本国のイギリス人であってもいささか冗長さを感じて退屈に思えるのではないだろうか。 舞台という役者やスタッフも観客も限られた空間に存在する場所ではまだ退屈ぐらいで済むかもしれないが、日が当たるロケーションや浜辺など雄大な自然の中などで登場人物が長い比喩に彩られた台詞を吐くとその場から浮いてしまい、退屈を通り越して間抜けに映る。 映画はそもそも舞台ではない。 映像で置き換えられるものは映像化して台詞を少なくしていくのが映画の醍醐味である。 本作では話す速度が過去に比べて格段に早くなった現代人が無理にシェイクスピアの台詞を話しているためにかえって中途半端になったように思えた。 主演のベン・ウィショーは近年のダニエル・クレイグ版『007』において機械オタクのQを演じていたり、『パフューム』ではおぞましい欲求に逆らえずに苦悩する主人公を好演していたり、派手さはないが堅実な俳優という印象があったが、今回はシェイクスピアの冗長な台詞に縛られたせいかいかにも縮こまった演技しかできなかったように見えてしまった。 二時間四十分の上映時間は台詞を短くしてしまえば一時間は削れそうである。 とにかく長く感じた。 原作を読んだ上に何度も観返すことで味わい深さも出てくるのかもしれないが、原作も読んでない、映画館で一度観たきりでそれを要求するのは酷である。 カラー化?は別にしてもシェイクスピアの台詞まわしに入り込めるか、それによって好き嫌いは別れるだろう。

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