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そうして私たちはプールに金魚を、
2017年4月8日公開

そうして私たちはプールに金魚を、

- 2017年4月8日公開

wak********

3.0

ネタバレ退屈な街……

2012年の狭山市入間川中で実際に起きた事件を題材にしている作品。 第33回サンダンス映画祭ショートフィルム部門にて日本人初のグランプリを受賞している。 私は作中の彼女たちと同世代かつ当時、狭山市に在住していたため、作中で散々ディスられる狭山市の退屈さ、つまらなさがとてもよく分ります。 ここでは映画の解説というよりバックボーンの解説をさせていただきます。 彼女たちが通っていたのは入間川中で、入間川の畔にある学校で、狭山市駅の近くにあります。 金魚を盗んだお祭りは「狭山入間川七夕祭り」で、年に一回のそれは狭山市の一大イベントですが、……会場は主に駅前なので、盗んだ金魚をプールに放ることができたのは、学校がすぐ持って行ける距離にあった入間川中の生徒だからですね。 狭い街……。狭い山と書いて狭山市。近隣には所沢と川越があり、そちらは埼玉だとさいたま市に次ぐ大きな街ですが、狭山にはなにもありません。 彼女たちが住んでいたであろう鵜ノ木や入間川地区あたりはまだ発展しているほうで、入曽地区の方を含めて、街全体が住宅街と畑と田園の田舎。そこに「入間川」という大きな川が流れている感じです。 田舎ですが、かといって山はなく自然もないので、隣の隣の市である飯能のように観光都市でもなく、しかしホンダやロッテの工場があるので税収は潤っていますが、古くからの地主などの反対もあり、特に入曽駅前などは改修が進まず、閑散としています。 近隣の市に比べ物価が低く家賃も安いし、都心へのアクセスも悪くなく、遊びや買い物は近隣や都内で済ませられるので、車とお金がある大人が住むには安定していて……、よくいえば平和で暮らしやすい街……、しかし、中学生の彼女たちからしたらなんのドラマもない退屈な街、というのはまさに街の空気を表していると思います。 街全体が高度成長期にホンダの工場や都内で働くサラリーマンのベッドタウンとして発達したため、住民の世代は高齢者が多く、若者が少ない。そのため活気がなく、遊び場が少ないのも特徴で、どこまでも住宅が続く様は迷路のようです。 自衛隊入間基地が狭山市と入間市の境目にあるために、ヘリや飛行機の轟音が日常で、それを空が狭いと表現したのは面白いと思いました。 基地があるために狭山市と入間市は近隣でありながら行き来できる道路が限られ、アクセスが悪いのも彼女がいうところの袋小路のダンジョン でしょうか。 実際に狭山市でロケをしたらしく、いくつかわかるところがありました。 ゲーセンとボウリングをしているシーンのロケ場所は「キャッツアイ狭山台店」 イオンをバックに自転車を押しているシーンは、狭山市駅の裏の丘です。 出会い系で男を釣ったシーンは狭山市駅。 お祭りのシーンはセットか、別の祭りの映像ですね。 同世代の中学生だった自分として思うところは、平和で退屈な街で一生暮らしていくことに悩む姿は理解出来る一方で、出ようと思えば都内には出ていけるので、自分で視野を狭くしているように思える。 狭山市から特急を使えば新宿まで三十分程度。池袋線に乗りかえても、普通電車で池袋まで四十分くらいの距離です。実際、私は池袋の高校に通っていましたし、中学時代には都内へ遊びに行くのは、狭山市の中学生としては普通でした。 演出として閉塞感と解放、モラトリアムと青春の衝動……、みたいなものをテーマにしたかったのでしょうが、”あえて”そういった情報は出していないようです。 また小噺として面白いのは、”プール”についてです。 彼女たち入間川中の生徒のほぼ全ては、”入間川小学校”からの持ち上がり組です。 その入間川小は屋内の温水プールなので、建物内に入るには入り口の鍵を開けて入る必要があり、夜中に侵入したりすることは不可能だったということです 入間川中学校は屋外プールですから侵入も出来ますが、推測ですがもしかしたら小学校のころから夜中のプールに憧れがあったのかもしれませんね。 後制服についてですが、当時のことはハッキリ覚えていませんが、恐らく、リアル再現していると思われます。 この作品が好きで聖地巡礼したい方は、狭山市駅西口で降りて、駅前広場から入間川に向かって丘を下れば、イオンが見えますので分かると思います。 その辺りに入間川中もあります。 ロケ場所も大体その辺りかと。

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