作品レビュー(24件)
- pio********
5.0点
ドキュメンタリータッチな映像とそれを助長する各役者のリアリティー溢れる演技がフィリピンに巣食う現実の社会問題を描いたこのストーリーにさらに現実味を与えている。出てくる人物の細かなワンシーンでも演技とは思えないほどのリアル感満載で思わず惹きつけられて観てしまう。特にラストシーンのローサの描写などは…。ただ、この映画はある程度フィリピンの社会や人を知る者でないと意味不明な部分があったり深く感情移入はできないのではないかと思うが。
- kaz********
3.0点
フィリピンのドゥテルテが大統領になったのは、2016年6月30日。 ところでこの映画は2016年公開。製作には5年の月日がかかっているということだそうである。 メンドーサ監督曰くは、この映画はドゥテルテ大統領が登場する以前の物語ですとインタビューで答えている。 したがって、ドゥテルテ大統領の登場、すなわち麻薬撲滅運動が警察をこのようにしてしまったというのは間違いで、元からのフィリピン警察の問題と考える。 それにしても、映画で描かれている警察は腐ってる。酷すぎる。 一方、スラムに住むローサ家族の一致団結のすがたは見事に描かれている。 WOWOWの特集ページなどには載っていない作品だったが何故か目に止まったので観てみた。内容のある作品だった。
- arl********
3.0点
フィリピンの現実を生々しく描きました。日々を必死に生きる人たち。
- fg9********
4.0点
このレビューにはネタバレが含まれています。 - MOON
3.0点
ブラジルも然り。 どうにもならない不条理な世界。 こういう世界がたくさんあることをもっと日本人も知るべきなので評価を上げた。
- あき
3.0点
雑貨屋を営むローサとその家族が麻薬をあつかったために警察に捕まり、法外なワイロでもって釈放されるまで。 麻薬は違法とか言う以前に違法をしないと生活できない。警察のやり方もヤクザそのもので脅しと懐柔、暴力で庶民を型にはめる。 しかし子供たちは手段を選ばずに金集めをする、両親のために。 ラストのローサの涙に色んな感情が込み上げてきてよかった。
- gir********
5.0点
なんかすごいものを見た。ドキュメンタリーフィルムの感触。自然で、役者が演技をしているように見えない。監督インタビューによると、準備には相当時間をかけているが、撮影にはあまり時間をかけていない。ほとんど実際の街で撮影している。警察の不正を告発しているのに、本物の警察署で撮影し、警察も協力的だったという。ちょっと粗っぽい作りだが、それも効果につながっている。街が息づいていて、映像に力がある。フィリピン映画に触れる機会はほとんどないが、こんな映画が作れるんだと感心。観点別評価みたいになると減点したい気もするが、トータルの印象評価は満点にしたい。
- 裕
3.0点
ネタバレ薬
このレビューにはネタバレが含まれています。 - mnk********
3.0点
フィリピン社会派監督の告発映画なのか。 変にドラマを盛り上げるのではなく、変に 問題提議をしている訳でもない。 淡々と描写するのはドキュメンタリーのような 視点からの社会。 その負の連鎖。 最後にあるシーンのみ、きっと我々は誰も共感 する。 観客はローサになる。 汗をふかせて団子を頬張り、細々と律儀に暮らす 家族をみて目が不思議と潤むのだ。
- cil********
2.0点
余計なシーンが多く展開がトロい 退屈してしまう
- kok********
4.0点
フィリピン人は異常なくらい、家族間の絆が強い。貧困で、助け合わなければ生きていけないからだ。この映画で描かれている以上に、家族、親戚のピンチに際しては、なりふり構わず金を掻き集めてきて助け合うのは、フィリピンパブで散々ボラれまくった自分が良く知っているが、この映画でそれを再確認させられた。親戚のオバさんが亡くなってフィリピンに帰るから飛行機代くれ、家が台風で壊れたから金くれ、米販売のビジネスやるから金くれ。際限が無い。親離れどころか叔父叔母、兄弟、はてはいとこに至るまで、フィリピン人が親族離れしない理由がこの映画には良く描かれている。家族のためなら何でもやる。というか、日本人から容赦なく金をむしりとる。フィリピン人には絶対関わるな、彼らはそれほど金に執着し、家族思いだからだ。
- leg********
5.0点
フィリピンのスラムにおけるごく普通の日常と貧困と麻薬の密接な関係、警察の腐敗など、主人公のローサの目線でドキュメンタリータッチで仕上げている。シナリオ無しで撮ったBrillante Ma Mendoza(ブリランテ・メンドーサ)監督とキャストのコラボが見事な作品。フィリピン人の家族を大切にする国民性も赤裸々に鋭く描いている。お見事!
- meg********
4.0点
フィリピンの貧しい地区の人と人との繋がり・生活・習慣・警察と密売人の関係を臨場感溢れるカメラワークで捉えている秀作だと思います。
- mai********
4.0点
麻薬王や資金源、密売人の最後の一人が自首するか あるいは投獄されるまでやめない。 彼らが望むならあの世に葬り去ってもよい。 そんな風にドゥテルテ大統領は発言したとか… そうやって挑んでいる麻薬戦争。 その内実を考える一助になるこの作品。 強権的過ぎる麻薬に対する施政。 確かに世の中に蔓延り、その影響はバカにならないし 撲滅したいと思うものであることは間違いないんだけれど… なぜ彼らが麻薬に手を出していくのかを考えた時に 厳しい取り締まりだけではダメだろうとハッキリ考えさせられる作品だと思います。 貧しいから、少しでも裕福な暮らしをしたくて 収入源として取り扱うことになる麻薬。 逮捕されたときに、簡単に金銭を要求する警察も同じだけれど 貧しさが根底にあるからこその麻薬。 ローサのような人たちを一人でも減らしたいのなら 問答無用の射殺ではなく、彼女たちの生活を少しでも裕福にしていかなければ… 叩かれてしまう労働力を 真っ当なレベルに引き上げさせていかなければ 麻薬がローサの手元から消えることはないんだろう。 世界がグローバル経済の光と闇に覆われているのだとしたら ローサのいる場所は闇の中なのでしょう。 そこに光をあてられるようにするにはどうしたらいいのでしょうか? 問答無用の射殺を認め続ければ 結局のところさらなる貧富の差の貧側への沈下が起こってしまうのではないでしょうか? 人は財産。 ローサの日々の生活や 逮捕されたローサを保釈させようと駆け回る子供たちの姿をみて こんな風にバイタリティ溢れる人たちを 切り捨ててしまう様な施政だけは間違っているんじゃないかと感じます。
- kot********
4.0点
最初から最後まで、とにかく「金」の交渉。 ほぼ、それ以外の会話はしていない。 しかも、漠然とした「金」でなく、大金から小銭まで、具体的に詳細な「金額」が重要視される。 冒頭、ローサと息子のスーパーマーケットへの買い出しシーン。 「釣り銭が無いから、飴をどうぞ」と言われるが、ローサはあくまで、小銭にこだわる。 タクシーが入りたがらない、大雨が降りしきるスラムの路地。 シャブ中の博打好きババアへの取り立て、夕食を買う屋台は、シャブでツケ払い。 カラオケマシンの貸し賃、インターネットで遊ぶ小遣い。 ここで交わされる会話も、すべて金の話だ。 このスラムでは、近所に暮らす人々の懐事情や違法商売を、お互いすべて心得ている。 一見、ガメつい金の亡者に思える。 しかし、家族同然のガキには「晩飯食っていきな」と誘う。 さらに、本当に金に困っていることを察知すると、険悪な親戚もなけなしの金を渡し、質屋は相場より高く買ってくれ、さらにポケットの小銭もめぐんでくれる。 とことんシビアでありながら、ちゃんと思いやりがある。 不衛生で危険なスラム、そこに暮らす人々は「善か悪か」で判断しない。 そもそも「善か悪か」など、「生き抜く」ことに、なんの役にも立たないからだろう。 日本の戦後のヤミ市も、こんな感じだったのかもしれない。 安心・安全・便利・快適な現代の日本にはない、すさまじい「人間の生命力」。 それを「恐ろしい」と感じた自分が情けない。 ____ 警察の腐敗に対し、現代の日本だったら、当然、発せられるであろう言葉。 「それでも警察官か!」「権力の乱用は許されないぞ!」という正論を、誰ひとり言わないことに驚く。 もちろん、そんな事を言っても通用せず、暴行されるだけだから。 しかし、もしかすると、ローサ達は、そんな正論自体、考えてもいないのかもしれない… 「よりによって、なんで私なんだ!」と思っているだけかもしれない… 「警察が汚職している」というより、「ヤクザが、みかじめ料を請求している」という認識かもしれない… 発せられなかった言葉にこそ、問題の根深さを感じる。 また、日本なら、売人の母・シャブ中で怠け者の父、を持つ子供に対して「そんな親は見捨てて、自分の人生を生きろ」という意見が、相当数発せられると思う。 しかし本作では、その言葉を、誰ひとり吐かない。 密売は生活費を工面するためである事、親を見捨てても活路がない事、を誰もが理解しているからだ。 それにしても、子供達の「親を助け出す意志」に、まったく迷いや躊躇がないことに驚かされる。 これは、フィリピン社会が、家族の繋がりを大切にしている表れなのか? それとも、作劇のためのフィクションなのだろうか? ____ 「ドキュメンタリータッチの撮影が、圧倒的なリアリティを感じさせる」という、うたい文句を、近年の映画紹介でよく目にする。 しかし、この『ローサは密告された』は、そんな言葉では言い表せないレベル。 手法が目的と完全にマッチした結果、ドキュメンタリーよりも、深く現実を写し取っている。 そして、説明的な映像は一切ない、一方で、非常に印象に残るディテールが数々あるので備忘録↓ 警察署の表玄関と裏口の移動が、端折られることなく何度も執拗に描かれ、まさに警察権力の「表と裏」を感じさせる。 「弁護士を呼ぶ権利・黙秘権」とか、一応、形だけ言うんだな。 裏事務所で、ガキが小間使いしている状況の意味が解らなかったが、行き場のないストリートチルドレンが居着く、よくある光景らしい。 オカマと呼ばれる10才くらいの子は雑用係。 年長のもう一人は、リヤカーの売り子に扮し、偵察する密告者とカチコミ警官との連絡係。 令状なしの家宅捜索・逮捕が酷すぎる。 ローサの首を締め上げ、拳銃を顔面に突きつけている。 しかも、それが公衆の面前である。 ビシッと制服に着替え、裏から表の署内へと向かう、下衆だが男前な3級巡査部長。 売人ジョマールの妻はレイプされたのかも?を臭わせる、妻のジーンズがめくれた下着への視線。 テレビを買い取ってくれた所は、何なんだろう? 檻が設置され、中に男がいたが、地元の交番のようなものだろうか? そうだとしたら、警察署と交番との違いを描いている意味は何だろう? 容疑者に警察のポロシャツを着せる。 警察が「警察に連絡したら殺すぞ!」 根がのんきな父が、宴会のチキンに手を伸ばしている。 場面が変わると、ローサが流血の床掃除をさせられている。 …などなど、可笑しいけど、笑えない瞬間が多々ある。 たぶん冷酷なブラックジョークとして意図して入れているのだろう。
- aka********
4.0点
このレビューにはネタバレが含まれています。 - bar********
4.0点
ローサは密告された 街の映画だった。湿気ある街と人と社会。そのどれもこれも突出して魅力的。ブレードランナーくらいの金をつぎ込まないと表現できそうにないごった煮で匂いもしそうな街に巣食うリアルな人の生活と犯罪と、その犯罪は街の人々の上から下まで全部繋がって芋づる式に登場する怪しく(魅惑的な)人々。その中で金を貸してくれる口の悪いおばちゃんと娘のやりとりに涙したかと思えば、ラストシーンの汗まみれになって団子食うローサの目線の先の親子の景色、それをみて涙溢れるあの表情は「戦メリ」のタケシを思い出す絶品さだった。
- da5********
4.0点
まず、三半規管をおかしくさせる手持ちゆらゆらカメラで大減点だ。 昔、リアルタイムで「ダンサーインザダーク」を観た時、序盤のぐらんぐらんの映像で吐きそうになって、揺らす理由もわからなかったし、主役も物語もグロくて茶番でぶっとびすぎで、おまけに後味も悲惨だったので、その時点での「史上最悪作」の称号を贈ってやった。今でも私は、ビョークとあの“懲善懲悪“映画が大嫌いだ。 この「ローサは密告された」は、同じ酔っ払わせ撮影でも、役者たちも展開もすばらしく、ぐちゃぐちゃなわりには母ちゃん役のおかげで後味良好なので、(ガタガタの基礎点の上にだが)出来ばえ点をたくさん積んであげられる。原題は「ローサ母ちゃん」だろ? 何気なく撮られてるけど、ラストシーンには完全に映画の神が降りてきてるぜ。 飽きさせなかったドラマ性。芸術表現。テーマの深刻度。いろいろ批評の切り口はあるけれども、社会を写し取ったテーマの強さに、やはり最も重力が感じられるよ。 民衆・警察ともに、腐敗しきって猥雑でエネルギッシュで情にも引きずられまくっていて、邦画史上燦然と輝く最高の名セリフ(高峰秀子!)をここで使わせてもらえば、「ずるずるべったん……」なのだが、鑑賞者がフィリピン社会に「どうにかならんかいなぁ」とお節介なため息を向けても、ドゥテルテ大統領への当てこすりを呟いても、ほとんど意味ないわな。 そもそも、麻薬汚染を世界が絶つことができないのはなぜなんだ? 人間の弱さ? ────正答の一つは、「アメリカの中枢のやつらが、多くの国を麻薬で支配してるから」。 その憎むべき「中枢」(合衆国政治の表舞台にはめったに出てこない。特に、トランプ氏なんかとはむしろ距離があるやつら)は、世界各地の反米・反ハザール(=反「ユダヤ」)・反グローバリズムの勢力を弱体化させるために、ありとあらゆる謀略を繰り広げている。武器の一つが麻薬。アヘン戦争の頃から連綿と続くアングロサクソンの暗黒史でもある。 すなわち、アメリカのCIAは、アフガニスタンやメキシコなどで大麻を大量に生産させて実質管理している上、世界各国のマフィア等に「自国内で輸入麻薬を流通させる自由」を優先的(独占的)に与える見返りとして彼らマフィアを「親米路線」の強力な実行部隊として役立てている。日本にても、まったく同様だ。日本では岸首相が暴力団を最初に手なずける重責を担った。そういう係わりは、間接・直接いろいろある。 そして、大麻生産を厳禁したタリバーンを(9・11のビン・ラディンを匿ったというのを自作自演のついでに口実にして)掃討して再びアフガニスタンを麻薬天国へと貶めたアメリカは、メキシコでは政府と全面抗争(ほぼ内戦)するマフィアを陰で支援しまくり、清廉で鳴るメキシコ最大の野党党首アムロ氏(少し前の日本の小沢一郎氏と似た立ち位置の)をでっち上げの罪で告訴し、大統領選には不正選挙で介入。やられっぱなしの日本国民と違ってメキシコ国民はまともに大騒ぎしたが、その後、メキシコ政府は麻薬撲滅をほぼ諦める格好になってしまったらしい。 そんなメキシコから今日もフィリピンへ密輸されてくる「アイス」が、ローサたちの雑貨屋に辿り着いたのである。骨抜き日本よりマシではあるが、まだまだアメリカの植民地状態から抜け出せたと言い切れないフィリピンにおいて、ダンゴ頬張って毅然と涙落とす以外に、末端弱者のローサに何ができるだろう? 別にCIAを滅ぼしたって麻薬の害はなくならないし、フィリピンが貧困を脱することもない。しかし、いったいなぜ、ロックフェラー帝国アメリカ主導のグローバリズムやそのための半闇組織であるCIA、に対して批判的なトランプ、ドゥテルテ、プーチン、故チャベス、さらにはイランやかつてのイラクやリビアが日米の主要メディアに叩かれまくるのか。それは、日米の主要メディア(大手広告代理店ふくむ)がCIA側におおむね支配されてるから。メディアは新聞・テレビに限らずネットにまで入り込んで、捏造・偏向報道そのほか世論操作を性懲りもなく繰り返している。……フィリピンでも、ある程度はそんな感じだろう。ローサは泣き、警官はニタニタしたり怒って暴れたりし、海のこっち側で私たちは長い息を吐く。 さてさて、結局、この佳作映画を観た私たちは、どうすりゃいいのか。人の振り見て我が振り直す───まずは自分たちの国(社会)をもっといい国(社会)にすることに決まってるぜ。余裕が出来たら、ローサたちに手をさしのべればいい。今はとにかく、単なる娯楽映画やスポーツから、日々のニュース、ちょっとおかしな天気まで、何を見ても何に接しても、「誰か悪いやつらが係わってないかどうか」を考える癖をつけるべきだ。 いい映画だったぜ!!! 娯楽映画として観れば、乱暴な警官たちもかっこよかったな!!
- pip********
2.0点
うーん、評価が難しい。 でもエンタメとしてはバツ。面白くはなかった。
- 柚子
4.0点
麻薬の売人、ローサの話ではあるが… これって、裏テーマに、警察の腐敗ってやつ? まず本館が、ある そこは、一見、普通の警察署 その裏に別館が… この別館の刑事たちってのが、チンピラで、なぜか少年が働いて?いたりする この別館の刑事たちってのは、所謂ところの、裏金工作部になっているのだろう ローサのように、貧しい密売人を捕まえ、釈放してやる代わりに、法外な金を要求 そういう人ばかり捕まえてきては、せっせと裏金づくり 大金がまとまると、リーダー格の刑事が、本館へ行って、署長へ渡す… 大っぴらには、描かない(描けない?) ローサ一家を使って、警察の腐敗を知らしめたいのだろうな… ラストに流す、ローサの涙… 家族って、貧しくても、みんなでささやかに暮らすことが幸せだって そういう涙になっているが、上映するには、フィリピン政府にそう見せなくてはならなかったのだろうね フィリピンの大半は、貧しい ローサ一家のような人が、たくさんいるわけで、そこをだけ描いても意味もないし、未来もない やっぱり、腐った警察を、と思ってしまう それにしても、一番可哀想なのは、ローサの子供たち 親の尻拭いに奔走するなんて(..;)