4.0点
…あらすじは、横着をして、解説の次のとおり。 『マニラのスラム街で、小さなコンビニエンスストアを夫婦で営みながら、4人の子供を育てるローサ(ジャクリン・ホセ)。 ローサは地元の人気者だったが、家計のために少量の麻薬を扱っていたことが原因で、夫と共に逮捕されてしまう。 子供たちは、腐敗した警察から両親を取り戻そうと力を尽くすが……。』 「小さなコンビニエンスストア」というよりは薄汚い雑貨屋のようなものだ。 雑貨だけを扱っていればイイものを、「アイス」と隠語で呼ばれる覚醒剤も小売しているのだった。 そんなある日、『ローサは密告された』らしく、警察のガサ入れに遭い、旦那とともに逮捕されてしまうのだった。 この警察の野郎どもが呆れ返るほどのゲスばかりで、押収した薬物は横流しをして金に換えているのだった。 しかも、上層部も黙認というか……上納しているのだった。 で、ローサは、解放して欲しければ保釈金を寄こせと法外な金を要求されるが、そんな大金はどう足掻いても用意出来ないのだった。 ローサの旦那はズウタイこそデカいが、覚醒剤中毒のお人好しで、ローサに全てを預けっぱなしなのだった。 この旦那の覇気の無さも、警官のゲスさ加減も俳優が演じているとはとても思えず、あたかもドキュメンタリーを見ているかのように自然体なので、ググっと引き付けられる。 で、保釈金が用意できないローサは、彼女に覚醒剤を卸している売人をチクれと迫られるのだった。 密告されたローサが密告する側に回るという訳だ。 で、売人はとっ捕まり、警察は此奴が持っていた金でチキンと酒を買って宴会をオッ始めるのだった。 腐敗なんていう生易しいものではなく、正義も良心も腐り切ってドロドロの汚物と成り果てているのだった。 で、あれやこれやあって、ローサの息子たちが駆け付け、保釈に必要な金策に奔走するのだった。 長男は家電を売り、長女は親戚に頭を下げ、次男はパトロン?に身体を許して、漸くの思いで45000ペソを搔き集めるのだった。 長男は一番安易な役回りだったが、チクった少年をボッコボコにヤッツケル。 長女は、親戚のババアの誹謗中傷・侮蔑にジッと耐える。 この長女がローサにそっくりだったので後で調べてみたら、ジャクリン・ホセの実の娘だそうだ。 で、息子たちが搔き集めた金だけでは5000ペソ足りなかったので、ローサは押収されていた長女の携帯電話を質に入れると言って外出を許されるのだった。 漸くの思いで5000ペソを手に入れたローサは警察に舞い戻る。 途中で空腹を覚えて串団子を頬張る。 ローサの見詰める先には、店を仕舞う子供連れの家族の姿がある。 ローサの眼から汗とも涙とも覚束ないものが流れる。 後悔と諦念による放心なのか……それとも、子供たちのために更に強かに生きようと決意した表情なのか……そんなローサのアップで幕を閉じるのだった。 いや~、ローサを始めとして、誰一人として演技をしているとは思えなかったな。 カメラワークもハンディカメラなので、本当に起こった出来事を隠しカメラで撮っているかのようにリアルで、のめり込んで魅入ってしまった。 また、フィリピンのお国事情(麻薬事情)を痛烈に批判した作品でもあり、非常に見応えありの4.2点といったところかな。 (メモ 総レビュー数:3376件、2019年度206作品目)