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穏やかな穏やかなパターソンの詩を書く指先

  • hes******** さん
  • 2020年2月14日 0時12分
  • 閲覧数 869
  • 役立ち度 1
    • 総合評価
    • ★★★★★

ひねり無し。大事件無し。只々普通。日常にあることを淡々と。私たちの毎日の「あるある場面」ばかり。なのにこんなに見ごたえがある映画に仕上がっているとは。アダム・ドライバーはただのハリウッド俳優じゃない。スター・ウォーズだけで彼のすべてを知ったつもりになってた。人間の等身大を描いた優しい作品だ。監督もすごいのだ。ジム・ジャームッシュ。

バス運転手パターソンはパターソンという地の住人で普通の人。詩を作るのが大好き。これ僕かも、私かも、と思ってしまうくらい一見ありふれた人のお話。奇をてらうことなく、気張りもなく、在ること・出来事を素直に受け入れ世の流れや周りの人々に逆らうこともなく、かといって自分を捨てることなどもしない。生きるってこういうことなのかなと思わされる。こんなに見終わって人間の優しさを味わうことができたのは初めて。どんちゃん騒ぐだけが映画じゃない。しずか~にゆ~っくり時間が過ぎていく中に人生のありがたさをかみしめるそんな映画だった。「詩」の深みとその魅力を初めて感じた。俳句や短歌の良さにまで気づいたくらいだ。

夫婦の二人とも素敵な人。お互いを思いやり共感し合い、理解し合う。奥さんも気どりは全くなくてバスで隣に座った近所の綺麗なお姉さんって感じ。互いに特別なことを大げさにやろうとはしないんだけど、ちょっとした小さなことであれ、思いの詰まったセレモニーをする。高価でも何でもなく、ありきたりかもしれないけど、さりげない夫婦関係がすばらしかった。

外の人たちもそう。バス会社の運行管理の同僚も人間臭くていい味出してた。パターソンの地元民もみんな面白く、またすてきだった。ちょっといざこざあったりしたけどまるくおさまるのも良かった。そうそうこの「さりげなさ」なんだ。押し付けがましくないんだ。あーだこーだの価値観の押し売り無し。メッセージ?ないかも。詩を味わうように自分自身でこの映画の意味とか価値とか思いを巡らせることこそが楽しみ方のように思う。だから2時間近く平々凡々なこの二人の日常が同時進行で私にとってとても貴重な時間に思えて目が離せなかった。

アカデミー作品賞にしてもいいくらいだったのに!映画終盤のシーン、最高。「マリッジ・ストーリー」と合わせてみると面白いかも。(笑)

「ドン・キホーテ」も「沈黙」もみんな異質の人物像を描きそして演じていて、彼の才能を感じる。スター・ウォーズがハリソン・フォードという名優を輩出したのと同じくらいに秀逸な俳優が活躍し始めた。アダム・ドライバー。彼の出る映画から今後は絶対に目が離せない。

悩ましいという意味ではなく大人の映画。そしてやっぱり結局「優しい映画」だとしか言いようがない。見ているだけで心がだんだん和んでついには涙さえ頬を伝うくらい。アクションや感情表現がさく裂などしない映画。ほぼ無表情なのに、登場人物たちの感情がなぜか伝わってくる。演出のなせるわざそして演技のなせるわざ。すごい映画を見たぞって息子と娘に話したらもう僕より先に見てた。はれ~。

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