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アウトレイジ 最終章 (2017)

監督
北野武
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3.33 / 評価:2,297件

☆北野流、眩しく、虚しい生き様の美学☆

前々作、前作を、しっかりと、見届けた一人として、
今作のラストシーンの虚無感を通じ、
北野監督が、何を伝えたかったのかが、解りました。

今作は、バイオレンスが大人しいとかの、
刺激が少ないとかの、ストーリーに捻りがないとかの、
下種の発想で鑑賞するべきではないでしょう。
はっきり言えば、エンタメとしての期待で観ない方がいい。

今作を楽しむなら、
もう一度、前々作、前作を、見直すべき。
但し、ストーリーを追うのではなく、
ビートたけしさんが演じる、
昔気質の義理と人情で生きてきた、大友が、
仁義なき、外道な世界で、もがき、苦しみ、
今の世界を皮肉りながらも、生きてきたかを、感じること。
これを感じ取らないと、
今作の意図することが解らないでしょう。

前々作では、仁義なき外道の世界に振り回され、
前作では、傍観する立場として、振る舞い。
今作は、敢えて、仁義なき外道の世界に再び、身を投じる。

全ては、義理と人情の為。
そして、今までの出来事に、大友なりの決着をつける為。

今迄の、北野監督らしさで観ると、見事に肩透かしを食らいます。
各シーンで、北野さんらしい、シュールさがあるにせよ。
それでも、この映画が、
北野さんだからできた映画であると、私は感じました。

私が今作を観るに辺り、一番に気にした事は、ただ一つ。
それは、大友が、如何にして、義理と筋を通し、決着をつけること。
その筋の通し方を通じ、
北野 武さんの人なりの美学・哲学を知ること。
ある意味、今作は、
北野さんの個人的な面が強く感じられた作品だと思いました。

今作は、前作以上に、
ストーリーが複雑になっています。
敢えて、複雑になったからこそ、
大友の生き方が、眩しく、虚しく感じるのです。

そう言えば、北野さんは、人気絶頂の頃、
バイク事故で、瀕死の重傷を負った事がありました。
当時を知っている方なら、
このインパクトの強さは、御存知だと思います。
この事故を境に、北野さんなりの、
人生観、死生観を感じたのかもしれません。

今、北野さんも、今年で70歳です。
失礼ながら、呂律が回らず、
老いを感じる年代に入りました。
そして、想像ですが、老いの先にやってくる、
『死』を意識する年代に差し掛かり、
かつてのバイク事故で感じた
死生観と重ねたのかもしれません。

『死』を意識し始めて、解るものって、何でしょうか?
その歳にならないと解らないのかもしれませんが、
この映画、そして、北野さんが見せるものは、
昔気質のアイコンと、今の時代との乖離を感じながらも、
それでも、義と筋を通す事で、
今の世代に何かを残したい、感じてもらいたいという、
北野さんなりのメッセージではないかと私は感じました。

今作は、☆満点。
何故、大友さんが、
再び、日本へ戻ってきたのか?
義理とけじめを通す為の行動。
その行動を狩り立てる源は?
最後にとどめを刺した人の意図するもの。
そして、結果的に、世話になった人へ、
迷惑をかけたことに対しての、けじめのつけ方とは?
そして、北野 武の個人的な想いを重ねる。
私は、そう感じ、楽しませて頂きました。

はっきり、言って、
一般受けする様な映画ではありません。
10人中、3~4名、受ければいい映画。
北野さんも、そう意識しているでしょう。

それでも、凄いのは、自分の想いを、
映画として見せるという、
映画としての、もう一つの使命を、
見事に果たしていること。
そう感じる映画は、滅多にありません。

ある意味、北野監督作の、
一つの到達点と思うのは、
私だけでしょうか・・・・?

決して、終着点とは思いたくありません。

詳細評価

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