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幼な子われらに生まれ (2017)

監督
三島有紀子
  • みたいムービー 206
  • みたログ 719

3.72 / 評価:563件

悪魔同然の少女を前に、パパの忍耐力が凄い

  • ta7***** さん
  • 2017年8月27日 1時17分
  • 閲覧数 2562
  • 役立ち度 14
    • 総合評価
    • ★★★★★

 ホント面倒くさいね、人間って。それをじっと耐えに耐え、粘り強く辛抱強く解決へ努力を積み重ねる浅野忠信扮するパパが菩薩に見えてくる。邦画では珍しい部類の子連れ同士の再婚での諍い話だが、ハリウッド映画では頻繁に描かれると言うより、ごく普通の有り様で、無用の争いけしかけて双方に深い傷を与えつつ、でも暴力なりアルコールなりであっさり諦観すると言うか、不思議と丸く収まる作品を何度観たことか。「これが現実、強く生きてくしかねぇよ」とでも。

 だからキレる役の多い浅野ゆえ、いつ爆発するのかヒヤヒヤしながら観てましたが、風呂上りの前髪垂らしたやさしい風貌に隠された忍耐が大きく映画全体を覆う。自らリストラにより出向のハメに陥ったにも関わらずだ。中盤の薫役の長女がまさに「エクソシスト」の悪魔の少女に思える凄まじさにも、決して手を出さず暴言も吐かず。ハリウッド映画のように洗面所の鏡を自らの素手で割るといった定番のはけ口描写を一切封じ、フラストレーションすら観客は抱えるハメに。無論これも監督の意図であり本作の核心そのものだから。

 言葉ひとつで人は殺されもする、その意味でセリフの応酬を見事に構築した脚本が素晴らしく、それに血を通わせる子役の恐ろしいまでの演技には驚嘆しかない。エピソードの積み重ねも絶妙で、荒井晴彦の脚本はアカデミー賞間違いない盤石の出来。短い登場シーンだが、寺島しのぶや宮藤官九郎の演技から放たれる情報量の多さも素晴らしく、ちょいとキレイ過ぎる田中麗奈も大健闘。

 血りも濃い精神的繋がりへの努力を嫌味なく描く力作でしょう、かなり重たいけれど。泣かせるセンチメンタルを強く排除し、終始ヒリヒリするような緊張感を維持する監督の勝利。

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