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Okja/オクジャ

一人旅

5.0

豚というよりカバに近いと思う

ポン・ジュノ監督作。 『パラサイト 半地下の家族』(19)でアカデミー賞を制した韓国の鬼才:ポン・ジュノが2017年に撮った米韓合作によるNetflixオリジナル映画で、遺伝子操作によって生まれた新種の豚と少女の絆を描いた異色作となっています。主演は韓国人女優のアン・ソヒョンですが、ティルダ・スウィントン(一人二役)、ポール・ダノ、リリー・コリンズ、ジェイク・ギレンホールらハリウッドで活躍する個性派&実力派が脇を固めています。 アメリカのバイオ企業が遺伝子操作によって誕生させた新種の豚:オクジャ(カバと犬と豚をミックスしたような奇妙な姿形)を韓国の山奥で大切に育ててきた少女が、同企業が主催する豚コンテストでオクジャがグランプリに選ばれてしまいNYに連れていかれてしまうことを知って、家族同然のオクジャを無事に取り戻すべく奮闘してゆく様子を描いた異色ドラマで、動物を実験&虐待しているバイオ企業に反旗を翻す動物愛護団体との出逢い&共闘や、食糧不足解消のため食用豚を開発したバイオ企業の営利主義&倫理の欠如を提示しつつ、固い絆で結ばれた少女とオクジャが辿る波乱の運命を見つめていきます。 新種の豚が遺伝子操作によって生まれたという事実を伏せたまま食肉市場を席捲しようとするバイオ企業を悪、少女と共にオクジャを救い出しバイオ企業の悪事を白日の下に晒そうとする行動派の動物愛護団体を善として、囚われの身となっているオクジャの奪還に挑む少女の対バイオ企業の闘いを活写したものですが、同時に2005年のドキュメンタリー『いのちの食べかた』(05)のように無数の家畜が屠殺され食肉となり市場に流通し食卓に行き届くまでの過程を実社会の厳然たる事実として提示している社会派な一面を兼備した作品であります。本作は、少女とオクジャの異種間の信頼&絆を力強く描き出していくと共に、山奥で自給自足の生活を送っていた少女が“社会&経済のシステム”に初めて触れ諦観するまでの過程を映し出した成長譚となっています。

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