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あさがくるまえに (2016)

REPARER LES VIVANTS/HEAL THE LIVING

監督
カテル・キレヴェレ
  • みたいムービー 73
  • みたログ 141

3.74 / 評価:109件

命を繋ぐ全ての人に敬意を抱く

  • みんみにゅ さん
  • 2018年3月9日 11時26分
  • 閲覧数 604
  • 役立ち度 2
    • 総合評価
    • ★★★★★

特別期待はしていなかったんだけど、いい意味で期待を大きく裏切られた素晴らしい映画でした。

いわゆる群像劇なのかな。

少年とその家族
脳死した少年に関わる医者や臓器移植のコーディネーター
心臓病を患った女性とその家族、心臓手術を担当するスタッフや医師たち

中盤すぎからも
どんどん人物が出てくるから、あれあれと思ってたけど、見ている内に

そうか、こんなにもたくさんの人が真剣に向き合って
命をつないでいるんだなと
そんな当たり前だけど、思い至ってなかった事に気づかされた。
心臓取り出しました、移植しました
じゃなくて、
手術シーンもあえて、しっかり映して見せてくれた事ですごく感じるものがあった。


最初は血や生々しい画に、ちょっと薄目になって見ていたけど
最後移植した心臓が動き出して、電気ショック?を与えて正常な鼓動を刻んだ時には
まばたきも忘れて食い入るように見ている自分がいた。

他人の心臓を他人に移植しようなんて考えた出した人もすごいし、
現実にそれが可能になっている事もすごい。
携わっている医師も、看護師やスタッフ、臓器移植のコーディネーターもみんな
昼夜プライベート問わず、常にとんでもない緊張感の中、
人のために働いている。本当に頭が下がる。素晴らしい仕事だと思った。


映画を見ている間、自分だったらどうするかという事をずっと考えていた
自分がシモン(脳死した少年)だったら
シモンの両親、パートナーだったら・・

もし私がこの映画のように、シモンの親やパートナーだったら、
やっぱり同じように臓器移植に同意すると思う。
(でも顔はそのままにしておきたい。眼だけはやめてって言ってたシモンのお母さんの気持ちよく分かる)


死んでしまったらその人の人生はそこで終わるけれど、
かけがえのない大切な人の一部が、
どこかで誰かの一部になって命を繋いでいてくれるのなら
その希望を想って、生きていける気がする。

もちろん誰の一部になってるかは明かされない。
適合したかどうかも分からない。
でもそれでいい。
きっとどこかでって思って信じていける気がする。

そんな事を考えていました。
自分が死ぬことも、大切な人が死ぬことも、想像すらしたくない事だけど、
なんだかこの映画を見ていると
臓器移植についてどう思っているか話してみようという気持ちになった。


群像劇でたくさんの人が出てくるんだけど、
細かい描写で、それぞれの事情がちらちらと垣間見えるところが面白かった。

シモンを診た医師が、どうやら離婚してるっぽかったり、
看護師が恋人とちょっとワケありっぽかったり、
コーディネーターのトマが思い入れを寄せる鳥の事、
クレールが同性愛の恋人と色々あって別れたっぽいけど、今でも互いに想いが残っているようだったりとか
クレールの次男がゲイで、それをなかなか打ち明けられないけど、クレールにはお見通しだったり
クレールの長男のお兄ちゃんあるあるな気質とか


クレールと元恋人の話なんて、もっと掘り下げてくれてもいいのよー!ってくらいなんか素敵だったんだけど、
でもそこはあくまでもさらーっと通り過ぎるから、
何が特別という事はなく、それぞれが様々な事情を抱えて、今を生きているんだなという事を感じた。


映画が終わってから思い起こされたのはトマの事。
コーディネーターという仕事。初めて知りました。
突然の死をつげられて、絶望と混乱のさ中にいる遺族に
臓器提供の話をしなくてはいけないし、しかも決断には時間がないなんて事も言わなきゃいけない。
色んな人の気持ちを思いやるけど、彼が真に寄りそうのは臓器提供者ただ一人。

遺族にでも、臓器にでも、提供を待つ人にでもなく、
臓器提供者に最初から最後まで寄りそう仕事。


心臓が摘出される間際、シモンに家族からの言葉と、音楽を届けるために
医者の「待てない(臓器のために)」に対して、「いいや、待て!」って珍しく声を荒げたトマ。
両者ともプロなんだけども、
最後までシモンを、シモンその人として尊厳と敬意を持って旅立たせることに全力を注いだトマ。


心臓が摘出されて、「生」が去り、静かになった手術室。
丁寧に、丁寧に、シモンの指先までぬぐっていくトマと看護師の姿までしっかり映してくれて
「シモンのそばにずっとついていることが私の仕事です」
って言ってたトマの言葉を思い出して涙。

そんな仕事に従事してくれる人がいるって事の尊さを想いました。


ラスト手術が終わり、ゆっくりと目を覚ましたクレールに陽の光が差し込み
その目に生命力がみなぎっていくシーン。
見事でした。掛け値なしに感動でした。

とまぁ長文になっちゃったけど、本当に素晴らしい作品でした。
この映画を見る事ができてよかった!

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