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おしゃれキャット

おしゃれキャット

THE ARISTOCATS

78

rup********

4.0

洒落た雰囲気づくりが見事

英語・字幕版を観てのレビューになりますが、当時引退していたモーリス・シュヴァリエに声がかかり、オープニングのタイトルバックに合わせてシュヴァリエが主題歌を歌っているのがパリのお金持ちの老婦人に飼われている猫たちを主人公にした物語にピッタリで、この軽妙洒脱な歌の雰囲気が本作の世界に誘う役割をしっかりと果たしています。 ヒロインである母猫ダッチェスの声は、演技よりもゴシップで脚光を浴びていたガボール姉妹の1人であるエヴァ・ガボールがあてていて、「ビアンカの大冒険」正続編のビアンカの声もこの人ですが、彼女の声には上品さと色気がちょうどよく配分されたような魅力があっていいですね。キャラクターのイメージに見事にはまっています。 ダッチェスが子供たち(ベルリオーズ、トゥルーズ、マリー)と一緒に、ドミソドドソミド~♪と歌う『スケールとアルペジオ』がとても可愛らしいですし、ダッチェスたちを助ける風来坊のオス猫トーマス・オマリーの自己紹介ソングも洒落ています。さらに、スキャット・キャットらジャズ猫がたむろしている屋敷での『みんなネコになりたいのさ』は曲の盛り上がりが実に素晴らしくて、ここは何度も観たくなるシーンです。ナイトクラブのステージを思わせるカラフルな照明に照らされて、トーマスや子猫たちだけでなく、ダッチェスまで参加して歌い踊るのが本当にいい雰囲気なのです。特に、ハープを弾きながら歌うダッチェスに大人の女性の艶っぽさを感じるのが何とも素敵。同じ動物もののヒロインでもレディやパディータにはない猫ならではのしなやかさが見事に表現されているのも良いです。こういう繊細なタッチは、昨今のディズニー作品にはない魅力の1つかなと思います。 ウォルト没後の作品で幾分オリジナリティーに乏しく、ストーリーにもそれ以前の作品との類似点が多いことが難点と言えるかもしれませんが、ナポレオン&ラフィエットの不良犬コンビと猫たちをさらった強欲執事エドガーとのドタバタという子供たちが喜ぶ要素もたっぷり入っている一方で、イギリスの山の手暮らしのおばさん姉妹をカリカチュアライズしたようなガチョウのアメリア&アビゲイルのガブル・シスターズと酔っぱらいのウォルドーおじさんの描写とか大人が観て面白く感じられる部分も多くて楽しめます。 ラフ画の線をそのまま残しているような独特な絵のタッチも手作り感が感じられて魅力的でした。 あと、映画と切り離した形でのマリーのキャラクター商品開発は、商売としては成功だったのでしょうけど、本作が置いてけぼりを食ったのはちょっと惜しいなという気がします。

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