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50年後のボクたちは
2017年9月16日公開

50年後のボクたちは

TSCHICK/GOODBYE BERLIN

PG12932017年9月16日公開

fg9********

4.0

ネタバレほろ苦くも甘いノスタルジックに浸れる佳作

文字制限オーバーのため句読点を外す あらすじは横着をして解説の次のとおり 『学校では目立たず両親との関係もぎこちない14歳のマイク(トリスタン・ゲーベル)は、ある日個性的な転校生チック(アナンド・バトビレグ)と出会い意気投合 夏休みになり二人は盗んだボロ車で地図にない“ワラキア”という場所を目的地に設定し旅に出る やがてこの旅は二人にとって忘れられないものになっていく』 マイクは「学校では目立たず」とあるが、キモくて浮いているような存在だ 家はプール付きの豪邸に住んでいるが、母親はアル中で父親は公然と浮気をしている家庭環境なので、マイクの気が塞ぐのも頷けるというもんだ 冒頭、そんなマイクの血塗れのシーンから始まるので驚いたが、これがエンディングシーンというよくあるパターンだった 転校生のチックは原題の『Tschick』というタイトルにもなっているが、大五郎のようなヘアーカットでタッパもデカいので、マイクと同じ年頃のようにも思えず、言動も太々しくてクラスメイトの思惑なんぞは歯牙にもかけない大胆不敵な奴なのだった そんなチックが何故かウザいマイクにシンパシーを感じて、盗んだボロ車でマイクの家に乗り付け、半ば強引にマイクを誘い出して“ワラキア”とかいう地図にない場所を目指して旅に出るというロードムーヴィーだ 盗難車での無免許運転なので、いつ警察にパクられるかとハラハラしたが、2人はそんなことはお構いなしだ トウモロコシ畑を車で縦横無尽に突っ走ったりするので、丹精込めて育てた農家が可哀想と思わなくもなかったが、なんら悪びれることなく青春まっしぐらにひた走る2人が眩しく感じたのことも事実なので許そう で、ガソリンが無くなっても盗難車なのでガソリンスタンドには寄れず、手っ取り早く他の車から盗むという犯罪も侵すが、これまた旅の目的を果たすためには必然の成り行きだったので許すことにしよう でも悪事を働いたのはこれぐらいで、空腹に耐えきれずに道すがらの子沢山の家で食事をご馳走になったり、風力発電の下で野宿をしながら2人が等身大の年頃の会話を重ねるシーンはほのぼのとしたっけな~ で、ガソリンを盗むためのホースを探している時にイザという謎めいた少女と出会うのだった イザはマイクよりもチョッピリ年上の設定だろうが、身なりは薄汚くて浮浪児そのものだ 近寄れば悪臭が芬々と臭うような少女だったが、ガソリンの盗み方を教えて貰ったこともあり、オンボロ車に同乗させてあげるのだった 道中、湖に立ち寄る イザのクシャクシャに絡み付いた長い髪をマークが切ってあげる イザは湖の清らかな水で身体を洗い流す すると、どうだ! キュートな女の子に様変わりだ チョッピリ大人のイザは「したこと、ないんでしょ?」とマイクを誘う 図星を言い当てられたマイクは頷いて俯くしか術はなかったが、そんなマイクの恥じらいを察したイザは「キスぐらいにしとく?」と言いながら、2人が唇を重ねるシーンはマイクでなくても胸キュンだったな 以下端折って箇条書きにして先へと急ごう ある遺跡で3人は「50年後の再会」を誓い合う 事情によりイザはマイクに金を借りてバスで故郷に帰る チックから、マイクが密かに思いを寄せる同じクラスのタチアナよりもイザの方がよっぽど素敵だと言われる 流石は苦労人のチックだ 女を見る眼は肥えていたっけな そんなチックが足を怪我してしまったので、初心者のマイクが運転する羽目になる で、案の定事故って冒頭のシーンになる 警察がやって来る チックは訳ありなのか、警察には捕まりたくないと言ってトンズラを決める 警察の事情聴取を受けるマイク 父親が駆け付けて、すべて相棒に唆されてやったことにしたがる マイクはムキになって反発し、2人で一緒に仕出かしたことだと罪を認める 夏休みが終わって学校が始まる マイクは密かに思いを寄せていたタチアナなど眼にも入らない タチアナはウザがっていたマイクに精悍な男らしさの匂いを嗅ぎ取って、回し文を送ってくる マイクはそんな紙っ切れになんの価値も見出せない 胸に去来するのは、ひと夏の経験を通して学んだことだけだ 50年後にチックとイザと再会を果たすべく、本来の自分自身の居場所をキッチリと見詰め直し、チックとイザが眼を瞠るような大人になり、お互いが讃え合えるように生きるのみだ そんな希望に胸を膨らませて、遠くを見据えるマイクのアップで幕を閉じる 青春アルアル・ストーリーで、オラッチにとっては半世紀以上も前に過ぎ去った幻影みたいなものだったが、当時のほろ苦くも甘いノスタルジックに浸れる佳作で3.8点といったところかな 劇中に幾度となく流れるリチャード・クレイダーマン の「渚のアデリーヌ」は、これまでダサい曲だとしか思っていなかったが、場面場面で何気なしにハマっていて耳に心地イカッタな~。 (メモ 総レビュー数:3374件、2019年度204作品目)

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