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ライフ・ゴーズ・オン 彼女たちの選択 (2016)

CERTAIN WOMEN

監督
ケリー・ライカート
  • みたいムービー 12
  • みたログ 44

2.83 / 評価:30件

詩的で短編小説のような余韻の残る作品

  • Shoko さん
  • 2020年9月5日 13時49分
  • 閲覧数 261
  • 役立ち度 4
    • 総合評価
    • ★★★★★

本作は、日本では劇場未公開でDVDになったそうですが、インディー映画だからといって軽んじてはもったいない。まさに「珠玉の」という形容詞がぴったりな作品でした。

原作はマイリー・メロイの三つのショートストーリーで、それを監督のケリー・ライヒャルトがひとつの映画にまとめています。
三つの話の主人公たちが直接交流するわけではないけれど、皆、モンタナに住む女性たちで、間接的に話がつながる上手な脚本。

一つ目は弁護士(ローラ・ダーン)と彼女のクライアントとの物語ですが、はじめにローラが、ある男性との情事の後、衣服を着用しているシーンがあります。
このエピソードはローラという人の毎日を説明するものではあるけれど、話に直接かかわるわけではなく、二つ目の話にうつった時、この男性が次の話の主人公、ミシェル・ウィリアムズの旦那さんであることがわかります。
ここでも話の焦点は不倫ではなく、思春期の娘を持つ彼女の完全に円満とはいえない家庭生活を示すことにつかわれています。

それぞれに孤独や不調和をかかえていても、すべてが説明されたり、大きないさかいをするわけでもなく、ゆっくりとていねいに日常を切り取ったような形で、それぞれのエピソードが描かれていきます。

三つ目の話には普段は弁護士をしながら、週に二回、車で4時間もかけて田舎町の夜間教室で市民に法律を教えにくることになったクリステン・スチュワートが登場します。
この教室にクリステンにひかれて参加するようになったアメリカインディアンの女性役にリリー・グラッドソン。
この二人のエピソードが特に素晴らしい。
リリーは牧場で毎日馬の世話をしていますが、モンタナの広大な自然の中での孤独な日常とクリステンへの思いが静かに描かれ、その結末には胸がしめつけられるような気持ちになりますが、それが映画的な効果をねらってドラマティックに演出されるのではなく、あくまで私たちが生きていく毎日の一コマとして描かれている。

それが詩的で文学的な効果を生み出しています。
背景には自然音が使われ、音楽は一度しか使われなかったのでは。
モンタナという場所はこの作品にぴったりなロケーションでしたし、撮影も素晴らしかったです。

ちなみにこのリリーの役は原作では男性だったそうですが、女性にしたのは正解だったと思います。それがとても自然。
2016年の映画だから映画界にはすでにポリティカルコレクトネスの嵐がふきあれ、マイノリティの権利を主張するあまり、むしろそれ以外の人々を逆差別するような風潮が好きになれませんでしたが、この映画は心にすんなりはいってきます。そういう意味ではこの邦題はちょっと違うかなという気がします。


余韻にひたれる良作。四つ星です。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 知的
  • 切ない
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