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探偵はBARにいる3 (2017)

監督
吉田照幸
  • みたいムービー 913
  • みたログ 3,698

3.93 / 評価:2864件

持ち駒を全て活かす良作

  • とだえん さん
  • 2017年12月18日 22時19分
  • 閲覧数 2716
  • 役立ち度 17
    • 総合評価
    • ★★★★★

 私は「水曜どうでしょう」をちゃんと観たことはないが、大泉洋という役者とも芸人とも違うタレントが無茶な旅をしている、という情報は知っていた。無茶であればあるほど、彼はボヤき、それが面白い。
 バラエティ番組に出演しても、彼は基本的にボヤいている。彼の芸風は「何故オレがこんなことをしなければならないのか?」と言うことであり、そうした環境に置かれた彼はその魅力を存分に発揮する。彼のファンなら言わずもがなだろう。
 今作では、その大泉洋が影を見せる。目を真っ赤にして涙を堪える。正義感を持って本気で怒り、情に絆されて人々を救う。彼がボヤけばボヤく程、この映画が何とも言えぬエレジーを紡ぎだしている。
 つまり何が言いたいかというと、大泉洋の魅力全開、ということだ。

 北川景子という役者は、基本的にはどこを切っても「北川景子」なのだが、無邪気な笑顔も怒り顔も睨み付ける眼光の鋭さも、どれもこれも北川景子にしか出来ない味だ。佇まいだけで「そこに訳ありの美人がいる」という絵になってしまう。訳ありの美人がふとした拍子に笑う。悲しく笑うことも心底微笑んでいる表情も見せる。
 今作では、その北川景子のありとあらゆる「顔」を観ることができる。ここでも、北川景子の魅力が全開だ。

 松田龍平という役者は、何とも掴みどころがない。存在感がなさそうな役の存在感が凄い。今作でも無表情で敵に挑んでいく姿は、他の役者でもよさそうな雰囲気を漂わせながら、彼にしかできない「演技」を見せられる。しかもトボけた演技もできる。松田龍平にはどれだけの引出しがあるのか、見当もつかない。

 今作は上述したような役者たちの魅力を存分にミックスして、一つの物語と成していることが最大の魅力だ。全てのバランスが良い。クスッと笑えるところとジンと胸に来るところがある脚本。持てる駒を全て出し切って、映画を盛り上げている。
 持てる駒を使っているだけなので、観たこともない斬新な展開もこれまでにない役者の新境地が引き出されることもない。

 でも、それがいいんだ。

 不思議な安心感を生み出し、いつの間にかストーリーに引き込まれていて、ジワリと涙腺が緩む。少し声が出る程度に笑える。こんなにバランスのいい作品に出会うことは少ない。大号泣も大爆笑もない。それがこの映画の最大の魅力だと思う。

 多くの方に観て欲しいのでネタバレのレビューは私は書かない。土曜の夜に観て、「人生っていろいろあるよなあ」と思いながら、日曜日らしい日曜を過ごせる。そんな映画。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
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