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さよなら、ぼくのモンスター
2017年7月16日公開

さよなら、ぼくのモンスター

CLOSET MONSTER

PG12902017年7月16日公開

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5.0

ネタバレクローゼット・ゲイの目覚めと成長の物語

物語は、オスカーの幼少期のエピソードを描いて始まる。 愛情深い父親と楽しく過ごすも、母親とは喧嘩が絶えずやがて離婚。 母親は家を出る時に、寂しくないようオスカーにハムスターをプレゼントする。 バフィーと名付け、孤独な彼の相棒のような、大切な心の友の存在となる。 オスカーの空想の世界ではあるが、ハムスターとの会話が楽しい。 いつもハムスターに話しかけ、交流する姿が可愛くて微笑ましい。 オスカーはポケットにバフィーを忍ばせていたある日、凄惨な光景を目撃する。 上級生たちのイジメを見たこの記憶が、その後もずっと大きなトラウマとなる。 父親に育てられ、高校生に成長したオスカーは、メイクアップアーティストを目指している。 親友のジェマにメイクを施しては、日々作品作りに励んでいた。 ジェマとは仲が良いが、親友以上恋人未満という関係性で深くはならない。 女優志望であるジェマは互いに良き理解者で、共に夢を目指している。 そんなある日、バイト先にワイルダーという青年がやって来る。 シャツを忘れたので貸してくれと、オスカーのシャツを着るワイルダー。 ワイルダーが気になって仕方ないドキドキと戸惑いが、繊細で切ない。 初めて感じる自身の性のアイデンティティに、揺らぎ戸惑い葛藤する。 口には出来ないけど、彼を見る度に腹の奥が痛む、複雑な感情がこみ上げる。 認めたくない感情にもがく姿は、甘酸っぱくてほろ苦い、まさに青春そのもの。 このワイルダーが、めちゃくちゃセクシーでイケメンでカッコイイ!! ズケズケと踏み込んでくるんだけど、それがちっとも嫌じゃないというか。 何もかも見透かしているような余裕とか、妖艶な魅力がズルい! さらに、オスカーを苦しめるのは、厄介な父親の存在。 愛情はあるのだが、所有欲というか支配欲が強く、暴力的で傲慢。 身勝手ですぐにブチ切れる短気な父親に、度々翻弄される。 母親には時々会っているが、すでに再婚して新しい家族と生活を始めている。 自分だけ取り残されているような感覚に陥ってしまう、疎外感が分かる。 オスカーは、ワイルダーに誘われた仮面パーティーに参加する為、母が残した服を着るのだが。 自分の物だと主張する父親は、断固反対する。どこまで強欲なんだろうか。 希望していたニューヨークの専門学校に落ちた事もあり、ついに苛立ちが爆発。 オスカーは、父親をクローゼットに蹴っ飛ばし、家を飛び出す。 向かったパーティーでは、多くの若者が集まって賑やかに騒いでいた。 メイクをしてもらったオスカーは、酒とクスリでハイになる。 幼少期に聞いたあるゲイの見分け方を、ワイルダーに試してみるのだが。 ゲイじゃないと分かり、さらに女の子とキスしているのを目撃。 ショックを受けるオスカーに、別の男の子が声をかけてくる・・・。 オスカーが危うくて、ドキドキ、冷や冷やものだった。 過去のトラウマが蘇り、倒れてしまったオスカーをワイルダーが助け出す。 こんな風に優しく救い出してくれたら、そりゃもうイチコロです!! 雨に濡れたワイルダーの美しく魅惑的なことったら!たまりません! オスカーを試すように、誘うようにしたあのキスに、ハートを撃ち抜かれた! たった一度でも、充分満足させてくれるほど素敵でキュンキュンしまくり。 あまりにワイルダーがニクイ!分かっていながら・・・痺れる! だが、帰宅したオスカーを待っていたのは、父親のあまりにヒドイ行動だった。 これはさすがにヒドイ、可哀そう過ぎるし人間性を疑うほどの勢い。 許せないと、オスカーが怒りを爆発させるのも無理は無く、あのトラウマさえ乗り越える。 必死の抵抗が切なくて、苦しくて、ヒリヒリした。 オスカーの心情を表す暗喩の特殊な映像も、独特で効果的。 彼が抱える心の闇の深さが分かる、恐怖を感じる映像だった。 それでも、ラストには新たに夢に向かって歩みだす、希望のあるエンディング。 ある真相が明らかになるのもユニークで、ようやく光がさしてホッとした。 クローゼット・ゲイの性の目覚めと、恋と友情と成長の青春物語。 原題は「クローゼット・モンスター」なので、クローゼットの意味をかけている。 若くて美しくカッコイイ、イケメン同士の純愛って、とっても素敵でウットリ。 でも、ただ綺麗なばかりじゃない、青春の辛さや痛さが詰まった作品で感動した。

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