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ナインイレヴン 運命を分けた日 (2017)

9/11

監督
マルティン・ギギ
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  • みたログ 292

3.23 / 評価:215件

もはや感動できない自分を知る

  • 曽羅密 さん
  • 2017年9月22日 19時34分
  • 閲覧数 1347
  • 役立ち度 2
    • 総合評価
    • ★★★★★

ある大陸に1つの民族が暮らしていた。彼らは1000万ほど人口がいた。
しかしある人々によって実に総人口の95%が殲滅されてしまった。
片方はインディアンであり、今一方はアメリカ大陸に渡ってきた白人である。
(インディアンたち自身は「ネイティブアメリカン」という呼称を政治的だとして嫌っている。)
どちらがどちらかは説明する必要はないだろう。
しかも白人が悪どいのは勇敢な戦士と戦うのを避けあえて後方に控える女子どもからまずは殺したことだ。
戦士の戦意を奪うためと後の戦士を生み出さないための両方の目的があった。
この下りは『レヴェナント』で多少匂わせているが、さすがに殺すシーンまでは描かなかった。恐らく描けば一方的で凄惨な虐殺シーンになるので白人の観客からそっぽを向かれるからだ。
これもアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥというモンゴロイドの血を持っていそうな映画監督だから制作できた映画ではないだろうか。
また積極的に各部族同士を仲互いさせお互いが殺し合うように仕向けた。
(この敵を作るまたは内部で対立させる戦略は今のアメリカでも変わっていない。)

筆者はちょうどこの世界貿易センタービルへのテロ攻撃をまさにTVで観ていた。
北京に留学して一時帰国している最中だった。
テレビ朝日のニュースステーションを観ていた時だったと思う。
時代は変わると強く感じた。
あれから世界はよくなるどころか悪くなっている。

さて、あれからもう16年が経つ。映画の公開日も9月9日の土曜日とわざわざ911に近い日に設定する念の入れようだ。
アメリカ人からしたら感動的な話なのはわかる。
だが、前述した事情や、貿易ビルで亡くなった人以上にイラクやアフガンで死んだ無辜の民が死んでいることを思えばなんだか映画自体が空々しい。
この映画を上記2国へ持って行っても白い眼を向けられるのが落ちだ。
亡くなった人の中にはアメリカ人だけではなく日本人も含まれているし、その人たちは何も悪くないし、その死は痛ましい。
とはいえ結局は支配層ではなく一般人がいつだって犠牲になるんだというありきたりな記述でお茶を濁すのも違うと思う。
この映画の災禍に会う登場人物たちも白人だけではなく黒人やヒスパニック系が加わり、男女比も3:2とバランスが取れている。
ただ筆者はここにこそこの作品の持つ真の嫌らしさを感じてしまう。
この意見には賛否両論あるだろう。

ハリウッドはとても政治的な場所だ。
ナチスドイツは600万のユダヤ人を殺したと言われているが、この文章の冒頭で述べたようにインディアンは95%が滅ぼされた。
短期間か時間をかけてかの違いはあれ殺した数された数はどちらも相当に多い。しかし前者を扱う作品は毎年何本も制作されるのに対して後者を扱う映画はほぼゼロだ。
理由は簡単でハリウッドに資金提供しているのがユダヤ系が多いからだ。
この時期になぜ今さらこの映画が制作されたかも気になる。
単に定期的に911を忘れないために創っていくということかもしれないが、北朝鮮情勢を抱える現在勘ぐってしまう。

リンカーンは黒人奴隷制度の廃止を宣言するのと前後してダコタ族の討伐命令を出している。
ダコタ族は土地を取り上げた代償の食料品が粗悪だったことに怒って決起したのだが、騎兵隊によって全滅させられた。
その際300人のダコタ族が法廷で裁かれたが、わずか5分で結審、全員が処刑された。
これもリンカーンは支持した。
日本は世界中から石油を停められてニッチもサッチもいかなくなった。アメリカに代表団が赴いて交渉してもにべもなくはねのけられ最後は長期戦になれば負けるとわかっていた戦いに突入せざるを得なくなった。
今北朝鮮は同じ状況にある。
もちろん北朝鮮は現在日本の安全保障上の脅威であり、筆者はかの国の肩を持つ気は毛ほどもない。
ただ、この相手を追いつめ暴発を誘い、そして相手を叩きつぶす。それが常套手段に思えるだけである。

テレビを中心とするマスメディアでは、アメリカがどうする?他の国はどうだ?ばかりで、日本はこうする!との視点がほとんどない。
また満足に自国も守れないお粗末なわが国の状況ではアメリカの言うことを聞く以外の選択肢を持てるとも思えない。
軍事力の裏付けのない国に独自の外交などあり得ないのが国際社会の現実だ。
仮に北朝鮮の脅威が取り除かれても日本の未来は決してバラ色ではない。

この映画を観て強く感じたのは、自分はやはりアメリカ人ではないということである。
昔はこの手の映画に感動していたかもしれないが、それがいつだったか最早よくわからない。

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