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ヴェンジェンス (2017)

VENGEANCE: A LOVE STORY

監督
ジョニー・マーティン
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  • みたログ 438

2.93 / 評価:248件

暗黒面に落ちるとき、人は悪魔の笑みを零す

  • dr.hawk さん
  • 2017年10月3日 0時47分
  • 閲覧数 1804
  • 役立ち度 6
    • 総合評価
    • ★★★★★

2017.09.30 字幕 T・JOY京都


ノーベル文学賞候補として名高いジェイス・キャロル・オーツ原作の、妻と相棒を亡くした警官が、法で裁けぬ悪に立ち向かうアクション&ヒューマンドラマ
監督はジョニー・マーティン
脚本はジョン・マンキウイッツ


物語は主人公のジョン(ニコラス・ケイジ)が職務中に相棒を亡くすところから始まる
彼は軍経験を持つ警官で、褒章も豊富
相棒を失って生気のない彼は、引退して悠々と暮らせと仲間から言われる始末である

ある夜彼がバーに行くと、露出多めのハイテンションな女性が目についた
彼女は陽気にバーテンダーに絡み、そして遂にジョンにまでちょっかいをかける
彼女は町でも有名な未亡人のティーナ(アンナ・ハッチソン)で、彼女はひとり娘のベシー(タリタ・ベイトマン)と暮らしていた
ティーナの母アグネス(デボラ・カーラ・アンガー)は一緒に住むことを提案していたが、ティーナは自由でいたかった


数日後の深夜、パーティからの帰宅途中にティーナとベシーはチンピラに絡まれる
ティーナは何とかベシーを逃がしたが、男4人から逃れることはできずに強姦されてしまう
ベシーが助けを求めにいくと、そこには巡回中のジョンがいた


物語のテーマは「復讐」であり、これは強姦そのものに対してではなく、裁判によって犯人らに無罪が言い渡されたからである

犯人らは伝手で有力弁護士ジェイ(ドン・ジョンソン)に弁護を依頼し、彼は審問で「物語」を話すことを決める
それは「犯人と被害者は顔見知りで行為は合意のもとだった」というシナリオである
これは普段の彼女の挙動と印象操作によるものであり、それはある種自業自得とも言えた
だが、ジェイはさらに「今回の事件は被害者の言いがかりであり、犯人らは無罪だ」とまで言う
彼の巧みな話術によって、陪審員及び裁判官の事件への印象は決定的なものとなった


これを受けてジョンは犯人たちを超法規的処置によって復讐を果たすことを決める
そして犯人たちはティーナたちの生活を脅かそうと執拗に絡んできた


物語としては使い古された復讐ものの王道であるが、相手が法を盾に使うのに対し、ジョンもまた法律で自身らが裁かれないように偽装をする
とは言っても誰がどのような意図でやったかは明白で、ジェイと接見するジョンは彼に静かなナイフを突きつける


この手の物語は復讐を為してカタルシスとなるのだが、本作ではその点が弱い
と言うのも、真の黒幕が裁かれないからである

今回の事件に関して、強姦に関しては犯人たちの行為であるが、被害者が泣き寝入りする状況を作ったのは紛れもなく弁護士のジェイである
彼に手が及んで初めて、観客も腑に落ちると言うものである
(犯人の母も大概だったが、息子2人行方不明に家も失ったので留飲は下げようかと思う)


またティーナは美人であるが、母としては精神年齢が幼く、若さゆえにまだ遊びたい年頃なのか、普段の言動がかなり微妙である
このキャラクター性が共感性に乏しく、むしろ娘のためにジョンが動いているようにも思えた

この映画でもっとも変化したのはジョン(警官→復讐人)であるが、ベシーもまた母の庇護からの脱却(物語上の隠れた欲求)を果たそうと成長していく


被害者サイドはティーナもアグネスも言動に違和感があるキャラ設定で、それ以上に犯人サイドはクズの極みなのであるが、相対的に見て額面以上の乖離があるように感じない
冷静に考えればかなりの巨悪なのだが、結局はインテリジェンスの差なのだろうか

まあ、ジェイまで復讐の対象として殺すシナリオは行き過ぎではあるが、彼が行ってきたであろう数々の「法律の解釈と印象操作」に対してのカタルシス(=ジェイの失脚)は必要であろう


いずれにせよ、被害者心理にスポットを当て、そのさらに深く傷ついていく姿は生々しくもあったが、ジョン覚醒以降にはサプライズはなかった

ジョンが法廷で暗黒面に変貌するシーンがこの映画の最大の見所であり、そのシーンは善人であることを捨てた決意に漲っていて、とても怖さを感じる部分である
ニコラス・ケイジの役者としての奥深さが堪能できて、思わず唸ってしまう

このシーンを堪能できただけ良しとするが、映画全体を通して評価をするならば、高い評価にはできないだろう

詳細評価

物語
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音楽

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