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婚約者の友人 (2016)

FRANTZ

監督
フランソワ・オゾン
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3.83 / 評価:287件

解説

第1次世界大戦後のドイツを舞台に、戦死した青年の友人を名乗る男性と、残された婚約者や遺族の交流を描く人間ドラマ。エルンスト・ルビッチ監督作『私の殺した男』の基になった戯曲を、フランソワ・オゾン監督がアレンジ。『イヴ・サンローラン』などのピエール・ニネが、婚約者の友人を演じる。ヒロインにオーディションで選ばれたパウラ・ベーアがふんし、第73回ベネチア国際映画祭でマルチェロ・マストロヤンニ賞(新人俳優賞)を受賞した。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

1919年のドイツ。婚約者のフランツが戦死し悲しみに暮れるアンナ(パウラ・ベーア)は、フランツの墓に花を手向けて泣いているアドリアン(ピエール・ニネ)と出会う。フランツと戦前のパリで友情を育んだと語る彼に、アンナとフランツの両親は次第に心を開いていく。やがてアンナがアドリアンに婚約者の友人以上の感情を抱いたとき、彼は自らの秘密を明かし……。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

(C)2015 MANDARIN PRODUCTION?X FILME?MARS FILMS?FRANCE 2 CINEMA-FOZ-JEAN-CLAUDE MOIREAU
(C)2015 MANDARIN PRODUCTION?X FILME?MARS FILMS?FRANCE 2 CINEMA-FOZ-JEAN-CLAUDE MOIREAU

「婚約者の友人」戦争を背景にオゾン流ミステリーと恋愛ドラマが交差

 フランソワ・オゾンが初めて戦争を題材にした本作は、エルンスト・ルビッチが1932年に映画化したBroken Lullabyと同じ戯曲を元にしているものの、ほとんど別物と言っていいだろう。ドイツ出身のルビッチがフランス人の青年の視点から描いたのに引き換え、オゾンは恋人を失ったドイツ人女性の立場から描き、後半も大胆に書き変えているからだ。それぞれが他国のキャラクターに寄っているのが面白いが、オゾン版は残された婚約者の視点に添うことで、ミステリーと恋愛ドラマの要素を膨らませている。

 第一次大戦の傷跡が色濃く残るドイツの田舎町で、身寄りのないアンナ(パウラ・ベーア)は、亡き婚約者フランツの両親と暮らしていた。ある日フランツの墓で見かけた、見知らぬ男が訊ねてくる。アドリアン(ピエール・ニネ)と名乗るこのフランス人は、フランツが戦前パリに留学していたときの友人だという。彼がためらいがちに語るフランツの思い出に、癒される家族たち。だがその気持ちがアンナのなかで次第に恋愛感情に変わる頃、アドリアンの秘密が明かされる。

 初めてといえば、モノクロの映像もオゾン映画では新鮮である。尤も、時代ものだからと全編をモノクロで通すのではなく、ヒロインの心情に従ってときおりカラーに変化させる手管が心憎い。アンナがアドリアンと散歩をしながら語り合うとき、洞窟を抜けて湖に出るとともに、あたかも彼らが新世界に足を踏み入れたかのように色彩がふたりを包む。水に濡れたアドリアンの裸体から立ちのぼるそこはかとない色気に、アンナが忘れていた感情を取り戻していくさまが胸を震わせる。

 ヒロインの視点に立つことでもうひとつオゾンが実践しているのは、フランスを客観的に捕らえることだ。とくにパリを訪れたアンナが、レストランでフランス人が国家を合唱するのに遭遇する場面には、さりげなく国粋主義への批判が滲む。実際本作はオゾンのフィルモグラフィーのなかで、もっとも社会的なメッセージが込められた作品でもある。若きフランツもアドリアンも、そしてもちろんアンナも、戦争がなければその運命はまったく変わっていただろう。そんな思いをミステリーのなかに託し、あくまで上品に、情感豊かに描き出すのがこの監督らしい。瑞々しくも、風格溢れる傑作。(佐藤久理子)

映画.com(外部リンク)

2017年10月5日 更新

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