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嘘八百
2018年1月5日公開

嘘八百

1052018年1月5日公開

ジュン一

3.0

渾身の贋作は、果たして紛い物?

正統的な「コンゲーム」の一本と思って観始めたら、 中途からどうやら様相が変わってくる。 二転三転のはらはらどきどきが最後まで持続しない。 制作者サイドもそれを慮ったのだろうか、 取って付けたような騙し騙されを サイドストーリー的に付加している。 が、これは必要だったかどうか? テレビにも出ている有名な鑑定家『棚橋(近藤正臣)』、そして 関西の老舗骨董店の店主『樋渡(芦屋小雁)』。 この二人が結託、 店主が贋作を陶芸家に作らせ、 鑑定家がそれにお墨付きを与え高価に売りつける、との 詐欺まがいの商売を続けている。 嘗て駆け出しの時に彼等にカモにされた 骨董屋『小池(中井貴一)』と陶芸家『野田(佐々木蔵之介)』の二人が 投合して意趣返しを試みる。 その二人が出会うまでの経緯は まさに「コンゲーム」。 互いが誠実さを前面に出しつつ 相手を出し抜こうとする。 観客もすっきりと騙されてしまう 上々の滑り出し。 しかし、それ以降は 仕掛け造りに腐心する様子の描写に終始、 山場の流れもおおよそ見当が付くもので 龍頭蛇尾の感は否めず。 まぁこの種のハナシは大きければ大きいほど 成立した時の爽快感、失敗した時は喪失感がより大きくなるので 基本の設定自体に異を唱えるつもりはないけれど。 骨董屋の『中井貴一』からは胡散臭さが漂って来ないのに対し 陶芸家を演じた『佐々木蔵之介』の、特に作陶の場面での渾身の演技が素晴らしい。 特に作品を見つめる時の眼つきの鋭さは、 実際もおそらくかくや、との迫力に満ち満ちている。

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