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空飛ぶタイヤ (2018)

監督
本木克英
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  • みたログ 5,949

3.99 / 評価:4,910件

真摯さが報われる世界の素晴らしさ

  • TとM さん
  • 2020年1月19日 23時22分
  • 閲覧数 1470
  • 役立ち度 2
    • 総合評価
    • ★★★★★

意外なほど面白かった。原作あり映画の場合、原作は事前に読んだり、読まなかったり。観賞後に読んだり、読まなかったり。私のスタンスは様々だ。

強いて比べようとは思わないし、映画の良さはストーリーだけじゃなく、構図や間に左右される部分がある。
セリフ以外の、地の文で表現されることやテーマを、いかに映像で魅せるのか?それこそが映画の醍醐味だ。

その上で、「空飛ぶタイヤ」を観た後、無性に原作を読みたくなった。出来に不満があるからじゃない。この世界にもう一度浸りたいと思えるほど、魅力的な作品だったからだ。

何が良いって、とにかく登場人物の「熱さ」が良い。青臭い情熱かもしれないけど、リスクしかない決断かもしれないけど、とにかく信じた道を走り抜きたいという思いは、人間が人間足り得る大事なことだと思う。

自分を、家族を、大事な人を守りたいという気持ちは大切だ。それは時に命であり、生活であり、立場であり、プライドである。
生きることは複合的な行為の集合体で、何かひとつにに満足できても、何かが欠ければ人生は立ち行かない。

長瀬智也演じる赤松は、一本の電話をきっかけに人生の荒波に翻弄される。自分が大切だと思うことは、一体何なのか?
彼の前に示される選択は無慈悲な二者択一を迫り、彼は悩みながら、苦しみながら、大切なことを選びとるしかない。
それは彼と対になるディーン・フジオカ演じる沢田も同様だ。立場も生活環境も全く違う彼らが、同じように己の譲れないものを問い続ける。
その対比と同調のバランスが素晴らしい。

苦しい立場に追い込まれる赤松を鼓舞するように、熱い思いを抱えた者たちが少しずつ加わる展開は、最高に胸を高鳴らせる。
時にストレートに、時に全く見えない場所で蓄積された思いの果てが、ラストへと繋がっていくカタルシス。文字通り、目の離せない映画だ。

正直に告白すると、長瀬智也はちょっと赤松役には若すぎるように思えて心配だったのだが、映画を観続けていくうちに気にならなくなった。
むしろ妻役の深田恭子(いつ見ても可愛い!)とバランスもとれていたし、スーツに隠れた筋肉質な感じが、小さな運送屋の二代目社長という役柄にもハマっていたように思う。

赤松を補佐する経理の宮さん・笹野高史の、地味ながらも素晴らしい演技もあって、最後まで胸が熱くなる気持ちが切れなかった。
現実はそんなに上手くいかない、なんて野暮なことは言いたくない。
積まれていった人の思いが世界を動かす。あっても良いんじゃないかな、それくらいのことは。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

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