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殺意の誓約
2017年10月15日公開

殺意の誓約

EITHURINN/THE OATH

1032017年10月15日公開

風よ吹け

4.0

ネタバレ北欧版コロンボ?ただし警部なしで

エリート外科医の犯罪、という意味ではちょっとコロンボ的な物語です。なんか主人公のフィンヌルが、最近よく目にするエリック・バナに見えてしまって仕方がなかったのですが、アイスランドという珍しいロケーションで、空間の見せ方が独特な映画でした。 ラストの犯罪の証明をするのは警察でなくて実の娘、というのがなんとも皮肉ですがトリックとしては気が利いていました。まあ、聞かれもしないのに警察に彼氏の親元の話とかべらべらしゃべった時点で勇み足なわけで、そうとう墓穴掘っていますが。あと、警察から靴を見せられて所有を否定した時には、かなり奥さんにも疑われてますね。 ただ、それ以外のストーリーに関しては、ちょっといただけない。 まず、娘のアンナもその彼氏のオッターも、そのクズぶりがひどすぎて、同情する気にならない。さらにこの娘を放置してきた主人公のフィンヌルのダメ親ぶりにイライラする。だからオッターが薬の売人だろうがなんだろうが同情しないし、とっとと警察通報して終わりにしろよ、という気になります。 あと、フィンヌルは医者の知識をもってして、いったい何をしようとしていたのか?たしかにトライアスロンにチャレンジするような体力で、緻密なアリバイを作って、警察はその点は崩せなかった。しかし、殺して始末するならとっとと殺しちゃえばいいじゃないですか。銃で撃って、でも治療して、殴り倒して、でも病院に担ぎ込む?それが人の命を粗末にはしないという、医者としての本能だと言いたいのでしょうか。それでも結局フィンヌルは救おうとした命を救い損ねることになるわけです。 たぶん、原題のThe Oathというのは、その医師として生命を尊重する、という「誓い」なわけで、それを「殺意の誓約」と訳してしまうと根本的に間違ったことになってしまうとは思います。 オッターはオッターで、病院で自分を蘇生しているのがフィンヌルだと気づいた時点で、こいつだけには救われてやるものか、という意地をもって、逝ったようにも見えました。 気になるのは、麻薬組織で、オッターのブツの決着、あのままオットーが失踪したままだとしても、そのままみんなが忘れてくれたとも思えません。警察もなぜ麻薬問題にきちんと対処しないのでしょう。それが、アイスランド社会の病理なんでしょうか。 最終的には、これは殺人罪なのか、あるいは過失致死なのか、正当防衛なのか。計画性があるようで、実は非常にアマチュア的な稚拙な犯罪だったのではないでしょうか。そしてそこに、現代の家族が抱えている問題と、落とし穴がよく見える、ということなのかもしれませんが。

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