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孤狼の血 (2017)

監督
白石和彌
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4.10 / 評価:4116件

解説

『凶悪』などの白石和彌監督がメガホンを取り、柚月裕子の小説を映画化。暴力団対策法施行以前の広島県を舞台に、すさまじい抗争を起こしている暴力団と彼らを追う刑事たちのバトルを活写する。役所広司が主演を務め、松坂桃李、真木よう子、滝藤賢一、田口トモロヲ、石橋蓮司、江口洋介らが共演。昭和の男たちが躍動する。

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あらすじ

昭和63年、広島の呉原では暴力団組織が街を牛耳り、新勢力である広島の巨大組織五十子会系「加古村組」と地元の「尾谷組」がにらみ合っていた。ある日、加古村組の関連企業の社員が行方不明になる。ベテラン刑事の刑事二課主任・大上章吾(役所広司)巡査部長は、そこに殺人事件の匂いをかぎ取り、新米の日岡秀一(松坂桃李)巡査と共に捜査に乗り出す。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

(C)2018「孤狼の血」製作委員会
(C)2018「孤狼の血」製作委員会

「孤狼の血」暴力的でアナーキーな往年の東映イズムの鮮やかな復活を宣言する快作

 かつて〈不良性感度〉という言葉があった。1970年代初頭、東映が「仁義なき戦い」シリーズを連打し、血なまぐさい実録やくざ映画や女番長(スケバン)、暴走族、エログロ異常性愛路線で気を吐いていた時代に、辣腕をふるったワンマン社長岡田茂が自社作品を総称して言い放ったキャッチフレーズである。「孤狼の血」は、そんなアンチモラルで暴力的でアナーキーな往年の東映イズムの鮮やかな復活を宣言する快作だ。

 冒頭、養豚場でのトンデモナイ惨劇から一気に引き込まれる。近年、こんな酸鼻きわまりないバイオレンス・シーンが東映の、いや日本映画のスクリーンで展開されたことはなかった。

 舞台は昭和63年、暴対法施行前夜の広島の某市。対立する二大暴力組織、加古村組と尾谷組の抗争の火種となる加古村組系の金融会社社員の失踪事件が起こる。やくざと癒着し、捜査のためなら何をやってもいいとうそぶくベテラン刑事大上(役所広司)と新人刑事日岡(松坂桃李)のコンビが事件の真相に迫るが、組同士の暗躍、裏切りが連鎖し、警察内部でも密通が常套化して、腐臭が漂い始める。

 エリートで無辜な新米刑事日岡が、大上に反撥しながらも翻弄され、過剰なまでのサディスティックな調教を経て、次第に強面な相貌を獲得していく畸形的なビルドゥングスロマン(成長譚)としても出色である。「シャブ極道」(96)以来、久々に役所広司が、猥雑でどす黒いピカレスクぶりを発揮し、思わず快哉を叫びたくなるし、松坂桃李は繊細さとアクションシーンにおける機敏な身体性が際立っている。いっぽうで、大上との訳ありの過去を背負うクラブのママ真木よう子、日岡を献身的に支えるアルバイト薬剤師阿部純子が、男臭いドラマの中で、ゆるやかに存在感をアピールする巧妙な作劇は脚本・池上純哉の手腕によるものだろう。

 白石和彌は、随所で「実録・私設銀座警察」(73)や「県警対組織暴力」(75)へのオマージュを捧げながら、「日本で一番悪い奴ら」(16)ではまだギクシャクしていた群像劇のフォームを見事に自家薬籠中のものにしている。今の日本映画界に蔓延するぬるま湯的なホームドラマや毒にもクスリにもならない明朗青春ドラマに飽き飽きしている御仁には、極上の刺激的な映像体験となるはずである。(高崎俊夫)

映画.com(外部リンク)

2018年5月10日 更新

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