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ゴーストスクワッド (2017)

監督
井口昇
  • みたいムービー 3
  • みたログ 15

2.86 / 評価:14件

小さくチンマリと収まっちゃってる

  • cyborg_she_loves_me さん
  • 2020年9月5日 10時58分
  • 閲覧数 31
  • 役立ち度 0
    • 総合評価
    • ★★★★★

井口監督って意外に常識人なのね。

 パンフレットや公式サイトに掲載されている井口監督自身の製作動機。
 オーディションの書類審査である女性を落とした。その映画が完成した打ち上げ会場で、まさにその女性がある事件に巻き込まれて死んだというニュースを知った。もしオーディションで彼女を合格させていたら彼女は死なずに済んだかもしれない、という罪悪感に井口監督はさいなまれつづけ、被害者の思いが今もこの世をさまよっている気がしつづけた。目に見えない思いを描けるのが映画の力だと思った監督は、使命感に動かされてこの映画を作った。

 じつに切実な製作動機だと思うんですが、その割にはここに登場する幽霊たちはみんな、ふざけすぎてる気がする。
 この世に未練が残りすぎて成仏できない、という怨念のリアリティが全然感じられない。みんなやけに楽しげに幽霊やってる、って感じで。
 こんな映画を作られても、不条理な殺され方をした人の怨念は全然解決しないんじゃないのかな、と思う。

 どんなに憎い悪人でも殺しちゃいけない、自分の罪を一生悔いさせるのが本当の復讐だ、というきわめてご立派な理想は、頭ではよくわかります。
 でも、それを映画で描くのなら、殺人犯たちが実際に死ぬより苦しい後悔の念にさいなまれつづける様子を描かないと駄目でしょう。
 この映画みたいに、犯人が「ごめんなさーい」と言って、はいおしまい、っていうんじゃ、軽すぎて馬鹿にされてるような気すらします。こいつら今はこんなこと言ってるけど、すぐまた悪いことするぞ、と思う。

 あれだけブッ富んだ作品を連発してきた井口監督が、こういうところで「どんなに憎くても人殺しはしちゃ駄目だよ」という定型のモラルをしっかり守ってチンマリと小さく収まってるのが、不満でした。
 子供騙しの勧善懲悪物語でいいから、「悪いことした人は必ず罰を受けるんだよ」というカタルシスが得られる映画の方が、私は好き。

 余談ですが、この映画見ていて、「セーラーゾンビ」という深夜ドラマを思い出しました。あれは幽霊じゃなくゾンビ物語だし、復讐物語でもないのでジャンルはまったく別だけど、まったく荒唐無稽な設定の中にものすごくシリアスな要素を入れて、ふつうなら酒飲みながら寝る前の気晴らしに見る深夜ドラマのはずなのに、なんかやけにどん底まで落ち込むようなシリアスなストーリーが印象的な、ブッ飛び方とシリアスさが見事に同居した、名作でした。
 あんな作品が作れてたらよかったと思うんですが、井口さんにはそこまではできなかった、ってことかな。

詳細評価

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