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かぞくへ
2018年2月24日公開

かぞくへ

1172018年2月24日公開

mat********

4.0

ネタバレこのタイトルの意味が分かると…

ツイッターやら、別の映画の同好者からのおすすめもあり、拝見させていただいた。 この作品に没入し、感動でき、滂沱の涙を禁じ得ないのは、・彼女と別れたことがある ・親友と呼べる人が同郷の、それもごく少ない ・騙されて煮え湯を飲まされた など、かなり限られた人種だけだと思っていた。 だが、この作品の持つ問題性は意外なほど多い。例えば女系家族である佳織の家庭環境も、褒められたものではない。田舎から出てきてもうけ話に飛びつき、騙されるなんて、現代社会の縮図そのものだったりする。 冒頭のシーンはかなり意味深だ。披露宴に呼ぶ人数合わせをする二人だが、旭は洋人一人(正確には嫁を含めた二人)しか呼ぶつもりはないと言い切る。対する佳織は15人。そこにこの二人が仮に結ばれても何かにとらわれるのではないか、と思わせる伏線にしてあるのだ。 ジョギングのシーンは、決定的な溝を我々にも突きつける。「親なんてそんなもんだよ」は、その親を知らない旭にしてみれば知るものと知らないものとの越えられない壁を見せつけられたに等しかった。あくまで姑と仲良く行きたいと思っていた旭にとってこの一言は聞きたくないものだったに違いない。 家族を作りえなかった旭に洋人は「お前は俺のかぞくや」という。血のつながった、籍に入った、それが家族なんだとおぼろげながらでも思う。だが、洋人が言った「家族」は決して漢字で書く家族ではない。それは家というものに根差していないからである。だからタイトルが「かぞくへ」なのだ。 ではその「へ」は何を意味するのか? TO なのか、FORなのか、それとも別の意味があるのか? その答えは、映画を見ていただかないとわからないと思う。 確かに低予算だし、それが垣間見える箇所は五万とある。だが、大予算を使って撮った映画とそん色ない仕上がりになっていることは間違いない。小品ではあるが、それだけにとどまらない内容がある。もしこの監督さんが大予算をふんだんに使えるようになった時にどんな作品を提示してくるのか、少し楽しみである。

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