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ジャコメッティ 最後の肖像
2018年1月5日公開

ジャコメッティ 最後の肖像

FINAL PORTRAIT

902018年1月5日公開

bakeneko

5.0

ネタバレ流石にモデルを良く観察しているなあ~

俳優としても味のある脇役として存在感のあるスタンリー・トゥッチが監督した“抑えた語り口で芸術家のキャラクターを浮かび上がらせてゆく作劇”に脱毛じゃなかった脱帽する作品であります(すみません―本人の頭を思い浮かべるとどうしても言いたくなったんです)。 20世紀を代表する芸術家:ジャコメッティが最後に手掛けた肖像画(本映画の原題であるlast portrait)のモデルを務めたジェイムズ・ロードの回顧録「ジャコメッティの肖像」を元にした映画で、アルベルト・ジャコメッティのユニークな人物像を1960年代のパリの風俗の中に活写しています。 1964年にジャコメッティの個展を取材中に肖像画のモデルを依頼されたニューヨークの美術評論家のロードが体験した18日間の出来事を再現することで、天才画家の内面と周囲の人々、そして創作の内幕を提示してゆく作品で、1996年の「シャイン」で風変わりな天才ピアニストを演じてオスカーに輝いたジェフリー・ラッシュが、久々に演技力を満開させてジャコメッティに成りきっています。 芸術家を主人公にした伝記映画は多々ありますが、本作はその作品制作の過程を緻密に見せることで天才の頭の中を見せてくれる作劇となっていて、「ピカソ-天才の秘密」、「美しき諍い女」、「マルメロの陽光」に連なる“芸術家の厨房凝視”映画になっています。 いつも凝ったカメラワークを見せてくれる:ダニー・コーエンは手持ちカメラを多用していて、あたかも描かれつつある絵を見つめているような目線の高さと登場人物の歩みについてゆくような揺れる映像が臨場感を表出させています。 また、ジャコメッティの芸術に対する矜持とコンセプトや、セザンヌ、ピカソ、シャガールらの芸術家の言葉が引用されているのも美術ファンには興味深く、“独善的でありながら同時に自作に自信が無い”という二面性に、創作者の心理を見て取ることが出来ます。 妻と愛人との奇妙な関係 経済観念の欠如 芸術に対する飽くなき探究心 生活習慣への拘りと服装&健康への無関心 独特な人生&芸術観 …と不世出の天才の頭の中を見せてくれる作品で、芸術の追求にはきりが無く、天才画家のモデルになるとちょっと動いても気付かれることも判りますよ! ねたばれ? 1、「アメリ」風のオリジナルテーマ曲も叙情的ですが、購入した新車をカロリーヌが運転する際に掛かる“Jazz à gogo”♪は、先週(2018年1月7日)に亡くなったフランス・ギャルが“夢見るシャンソン人形”♪でブレイクする前に歌っていたヒット曲です。 2、彫刻の場合も何度も創り直したのかな?

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