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ナチュラルウーマン (2017)

UNA MUJER FANTASTICA/A FANTASTIC WOMAN

監督
セバスティアン・レリオ
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  • みたログ 578

3.50 / 評価:272件

LGBT映画にもう一つの傑作が加わった

  • 一人旅 さん
  • 2018年7月7日 17時56分
  • 閲覧数 1341
  • 役立ち度 6
    • 総合評価
    • ★★★★★

第90回アカデミー賞外国語映画賞。
セバスティアン・レリオ監督作。

最愛の人を失ったトランスジェンダーの女性の愛と苦悩を描いたドラマ。

チリ出身のセバスティアン・レリオ監督がLGBTの女性の姿を描いた傑作ドラマで、本作はチリ史上初のアカデミー外国語映画賞に輝いています。同棲中の年上の恋人が突然亡くなり、深い悲しみに心を苛まれているトランスジェンダーの女性歌手:マリーナが、死んだ恋人の元妻や親類からの差別的言動に晒されながらも、自分の信じた愛を胸に力強く前を向いて歩み出してゆく姿を、色彩豊かな映像と主演のダニエラ・ベガ自身が披露するパワフルな歌声をアクセントに映し出しています。

『噂の二人』『モーリス』『トーチソング・トリロジー』『司祭』『ブエノスアイレス』『ボーイズ・ドント・クライ』『ブロークバック・マウンテン』『チョコレートドーナツ』…とLGBTを題材にした名作を数多く鑑賞してきましたが、例に漏れず本作もLGBT当事者の“アイデンティティー”を巡る葛藤が焦点となります(主人公が鏡に向き合う場面に象徴されています)。愛する人を失った悲しみだけで精一杯なのに、それに追い打ちをかけるように恋人の元妻やガラの悪い親類から差別的言動を浴びせられる主人公は、さらに主人公に疑念を向ける警察からの屈辱的な取り調べもあって精神的にどん底の状態に陥っていきます。そうした中で度々出現する亡き恋人の幻影が、行き場を失くした主人公の彷徨える心を優しく導いていくのです。主人公と亡き恋人の嘘偽りのない愛情が、偏見という色眼鏡をかけた周囲の人々の曇った心と鮮烈なコントラストをもって映し出されています。本作は周りからの偏見や差別に直面するトランスジェンダーの懊悩と、男性でもない女性でもない自身のアイデンティティーを巡る葛藤を描き出しながら、やがては一人の男を愛した人間の儚くも美しい愛の賛歌として着地していきます。

そして本作を傑作に押し上げたもう一つの要因として、主演を務めたチリ出身の歌手:ダニエラ・ベガが魅せる独壇場の演技にあります。彼女自身がトランスジェンダーであることを公言しており、本作はトランスジェンダーの役者がトランスジェンダーの主人公を演じているのです。鋭い目つきと中性的な顔立ち、女性的な仕草と男性的な肉つき、そして野太く低い声と高い声を心情によって使い分けた熱演は圧巻であります。

詳細評価

物語
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音楽

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