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女は二度決断する (2017)

AUS DEM NICHTS/IN THE FADE

監督
ファティ・アキン
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  • みたログ 670

3.62 / 評価:503件

インフラがたがたのドイツを反映した映画

  • 山下晴代 さん
  • 2018年5月3日 5時49分
  • 閲覧数 612
  • 役立ち度 3
    • 総合評価
    • ★★★★★

 経済優先しすぎで、橋や道路などのインフラががたがたというウワサのドイツと経済破綻したギリシアが、相互乗り入れしたような映画だ。
 爆破犯のネオナチは、カップル二人だけ。それに協力していた、いかにもギリシア顔の、やはり、ネオナチのギリシア人のオッサン。「悪者」は、この三人だけ(笑)。主人公の夫が経営するオフィスの前に「自転車爆弾」(笑)が仕掛けられ、夫と息子は「ひどい死に方」をする。いかにひどいかを、裁判中に延々と語られ、ダイアン・クルーガーのヒロインは、ただでさえ哀しいのに、恐ろしいまでの悲劇へと、自己を追い込んでいく。まあ、夫と息子は即死なのだけどね。
 なんで、狙われたの? それは彼がトルコ系で、そのなかでも少数民族のクルド人だったから? クルド人はユダヤ人みたいに国家を持たず、中近東を中心に、世界中に散らばっている。トルコに一番たくさんいて、1000万人ほど。ドイツにも、50万人はいるらしい。それなのに、なぜ彼女の夫が? 彼女の夫は、薬の売人をやっていた過去があり、それで服役もしていた。「今は真面目に働いているんです!」事務所を開いて、翻訳とかそういうことをやっているらしい。
 「豪邸に住んでいるね」と刑事に言われ、クルーガーは、「不便なところだから、土地代は安いんです」てなことを言う。このヒロイン、なぜか、タトゥー趣味で、体中にタトゥーを入れている。クスリの経験もあり、現に、耐えられなくなった時、友人の弁護士から、クスリを分けてもらっている。なんで弁護士が? 「顧客のプレゼント。捨てるつもりだったから、タダであげるよ」
 被害者の家宅捜索(も、家宅捜索されるのか? ドイツでは?)の時、ヤクが発見されるが、精神的に辛かったので使用と、「微量」なので、法的には見逃される。
 テロリストのカップルは意外に簡単に捕まって、裁判が始まるが、犯人の男の父親までが、倉庫に爆弾の材料があったと証言しているのに、その倉庫の鍵が、第三者でも使えた状況にあったことで、「疑わしきは罰せず」的無罪となる。
 そして、主人公独自の復讐劇が始まる──。原題は、『AUS DEM NICHTS』日本語に訳せば、「無へ」ということか。だから、本作は、推理劇でもなければ、社会劇でもなく、一人の女の心の軌跡ということになる。思わせぶりっこに、三部仕立てのテーマで区切られている。
 まあ、これは、事実まんまなのだろうと思われる。現にドイツに、こういう女がおり、こういう事件があったのだろう。背景もあまり直してないと思われる。だから不可解さが残る。どこかを変え、もっと納得のいくドラマにすることもできただろう。しかし、女が追っていく、犯人カップルの隠れ家(浜辺に停めたキャンピングカー)があるギリシアの、寒々とした風景はどうだ? カップルの掩護人、いかつい顔のオッサン経営のホテルもやすっぽ〜。これはこのまま、お国の内情が出てしまった映画と見た。貧すれば鈍す。人員も、予算も足りず。ただひとり、CHANELカヴァーガール(アンチエージング系の化粧品)の、ダイアン・クルーガーのみが、凄絶な演技をする。
 このヒトを初めて見たのは、ブラピ主演の『トロイ』。絶世の美女、ヘレナに扮したが、これが絶世の美女?と思った印象は今も消えず。やー、CHANELのカヴァーガールに選ばれるくらいだから、美人だとは思うんですが。

詳細評価

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