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女は二度決断する (2017)

AUS DEM NICHTS/IN THE FADE

監督
ファティ・アキン
  • みたいムービー 210
  • みたログ 619

3.62 / 評価:471件

観客に投げつける結末

  • kap***** さん
  • 2018年5月8日 2時14分
  • 閲覧数 832
  • 役立ち度 4
    • 総合評価
    • ★★★★★

作品の基になったのは
極右テロリストによる移民を狙ったテロ事件を
警察が見当違いの見込み捜査で逮捕できずに
その間に被害が拡大してやっと逮捕できたのは10年もたってから
と言う実話です。

主人公はトルコ系移民の夫と子供を極右団体のテロで奪われた女性。
前半はこの家族の幸せそうな日常を描き
その後の悲劇を際立たせます。

当初、警察は偏見による見込み違いの捜査を進め
主人公と観客をイライラさせます。

それでも実行犯は意外と早く逮捕されますが
逮捕された若いカップルの、あまりの若さ、と言うよりも幼さに愕然とします。
終始死んだ魚のような目をしていますが、
ハリウッドのアクション映画によく出てくる、見るからにテロリスト
と言う風貌ではないのがリアルです。

ドイツが抱える病は「帰ってきたヒトラー」でも描かれていますが
ナチスと言う過去を持ったドイツに限らず
これは世界中に蔓延している病なのでしょう。

犯人の逮捕後、舞台が法廷に移り、
犯人の弁護士は唯一の目撃者である主人公の
証言の信憑性を攻撃してきます。

昨今、性犯罪の被害者に対する、加害者やその周辺からの
いわれのない誹謗中傷による”セカンドレイプ”が問題になっていますが、
極右団体の弁護士による主人公への攻撃は、
見るに堪えないものがあります。

終盤は主人公の犯人への”復讐劇”へと展開しますが、
ハリウッドのアクション映画のように
マシンガンをぶっ放してテロリストを皆殺しにしてスッキリ
と言う映画では当然なく、と言って、
復讐の虚しさに気づくと言うヒューマンドラマでもありません。

テロによって殺された夫は麻薬売買の前科があり
残された妻もショックを癒すために麻薬を使っており
品行方正な”善人”ではありません。

ギリシャの極右団体の人間が犯人のアリバイの捏造をやっているように
これは極右団体のネットワークが仕組んだ犯罪でしょうから
犯人を殺したからと言って何の解決にもならない
・・・と言うのは、
当事者でない、もっと言うなら自分には関係ないと思っている
我々だから言えることなのでしょう。

この結末には賛否両論でしょうが
この結末を見てスカっとした人は皆無でしょうし
殆どの人はやり場のない、やるせない気分を味わったと思います。

観客が感情移入しにくい主人公の設定も
議論が噴出するのを見越した
計算しつくされた監督の仕掛けではないかと思います。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

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