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女は二度決断する (2017)

AUS DEM NICHTS/IN THE FADE

監督
ファティ・アキン
  • みたいムービー 210
  • みたログ 619

3.62 / 評価:471件

女に現役復帰したからには…

  • bakeneko さん
  • 2018年5月15日 19時19分
  • 閲覧数 869
  • 役立ち度 3
    • 総合評価
    • ★★★★★

テロによって家族を失った女性の心の軌跡を現在ヨーロッパのレイシズム問題を絡めながら活写してゆく“女性心理+社会ドラマ”の力作で、ヒロインを演じたダイアン・クルーガーが第70回カンヌ国際映画祭の主演女優賞を獲得した熱演を見せてくれます(原題:AUS DEM NICHTSは“(何の準備をするまもなく(=不意に)”の意味で、ヒロインが係わった突発的な事故を現しています)。

かつて麻薬売買に関与して刑務所に入り、獄中結婚した夫婦(ダイアン・クルーガー&ヌーマン・エイカー)は出所後息子にも恵まれ、更正して翻訳サービス&輸入ブローカーを営んでいた。ある日妻が息子を店に預けて友人に逢いに行った間に店の正面に仕掛けられた爆弾が炸裂し夫と息子は事故死する。警察の捜査によってネオナチの若いカップルが捕縛され裁判が開かれるが、一瞬で家族を失った彼女は公判中も喪失感に苛まれる。証拠不十分で容疑者側が無罪を言い渡されたことを受けて彼女は…という葛藤心理劇で、裁判の進行を通して現在のドイツ&欧州を覆っている暴力的なレイシズムを提示すると共に、被害にあったヒロインの心の動きを詳細に映し出して行きます。
ヒロインをはじめとして様々なタイプの女性キャラクターが物語に登場してくる作品で、母親、義母、妊婦の友人、そしてレイシストの青年に盲従する容疑者の女まで、幾つもの“女の顔”を提示しています。そして、女性の情感と体が協調することを示している-“ヒロインの生理の停止と再開”が物語の最終結論の鍵となっていて、裁判結果の論旨が示すような男性的な論理感覚と判断基準に阿らない、主体的に物事の本質を突き進む女性の感性が最終決着を牽引していく様子を活写して行きます。

実際にドイツに住むトルコ系である-ファティ・アキン監督の正面切ったヒロインの葛藤の掘り下げや登場キャラクターの描き込み、そして緊張感が途絶えない語り口が冴える明晰な作品で、「ニーベルンゲン クリームヒルトの復讐」や「マリア・ブラウンの結婚」といったヒロインの情念に焦点を当てたドイツ映画の流れを読み取ることもできますし、日本ならば外国に旅行すると多くのカメラや出入国書類から証拠が残るのだけれど、地続きのEU内の移動では証明が困難なことも判りますよ!

ねたばれ?
1、件のギリシャ人が経営しているホテルの近くにわざわざ来るから…
2、あの入れ墨はサムライじゃなくて浪人だと誰か教えてあげて!
3、本作で演技派として開眼したダイアン・クルーガーですが、同じくドイツ系で美人役から演技派に躍進したジェシカ・ラングと似てきたなあ~
4、あんなに具体的に爆弾の作り方を示して大丈夫かなあ~(まあ、素人は肥料と軽油を混ぜる段階で吹っ飛ぶでしょうが…)

詳細評価

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