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ヘドローバ (2017)

監督
小林勇貴
  • みたいムービー 6
  • みたログ 37

1.86 / 評価:42件

スマホで撮ったとのことですが

  • nop******** さん
  • 2020年3月16日 1時46分
  • 閲覧数 344
  • 役立ち度 2
    • 総合評価
    • ★★★★★

79分しかない割には時間がやたらと長く感じた(-_-;) この映画の売りはケータイ(スマホ)で撮ったということですかね。メイキングでも監督がやけに強調してますし。

 ジャケ裏の監督コメントによると、スマホで撮ることで軽薄さが出せると。それが「厳かで芸術的なもの」を踏んづけてる感じがするとのことです。

 あとはまあ、機動力を発揮できるとか、大きなカメラでの撮影が仰々しくてエラソー、みたいなことも言ってます。

 ただ問題は、そういった幼稚な反抗心が、面白さに寄与してるのかどうか、だと思うんです。「厳かで芸術的なもの」の中には、クソ真面目なだけでつまらないものもありますけど、美しくて面白いものだってある。逆に、軽薄=面白い、とも限らない。軽薄でつまらない、というパターンだってあるわけですから。

 さて、実際にはどうなってるかというと、映像自体はそんなに安っぽくもないし軽薄さも感じないです。なぜかというと、スマホのカメラってもんがそこそこ高性能だからなんですね。レンズ径が小さい広角気味のカメラを使っている、というだけの話で、画質もそんなに悪くはない。

 よって殆どのシーンは、被写界深度が深い映像になってます。顔のクロースを撮ってても背景にもピントが合っている。広角がキツくて縦線が歪んでる画もあったりします。あともう一つは、スマホだからかどうか分かりませんが、多くのショットがダッチアングルになっている。斜めに傾いて撮った場面が案外目に付きます。

 んで、そういった映像の特色が本作にどのような影響を与えているのか。屋内の部屋の状況が前景から奥までクッキリと見えるということを意図して撮ったのかどうか。…なんかそういう事は考えてなさそうに思えます(^_^;) 背景を鮮明に見せるということは、人物と背景との関連性を観客に伝える意図があるはずなんですが、本作では舞台が団地であることの必然性をあまり感じない。

 物語の大半はチンピラ兄弟にまつわる話で、団地外での場面も結構多いからです。団地内住人のドラマの積み重ねも無ければ、住人たちの思惑が交錯して不穏な空気が高まり、緊張が高まって破裂する、なんてこともない。ヘドローバが誕生する物語上の必然がないんですね。

 ヘドローバが何を象徴してるのかはともかく、団地を舞台にするのであれば、そこで進行する人間関係にまつわる何かが破綻するのと、ヘドローバの誕生が重ならなければ、団地を舞台にする意味が乏しいでしょう。団地って得体のしれない住人とか、殆ど見かけない奴とかがいたってよさそうなもんですが、そういった設定もないし、「団地」という設定が持つ深みが欠けてるような気がします。

 ショットの性質に話を戻すと、スマホでは被写界深度の浅いツーショット等を撮ることが出来ないので、メリハリのあるドラマの構築までもが出来なくなります。また、屋外でのショットにしても、スマホカメラは「そこそこの」性能しかないので、中途半端な遠景ショットにしかならない。ダッチアングルショットがもたらす不安定感も、濫用し過ぎてあまり効果はない。映画全体として不安な空気を出したいのだとしても、物語とうまく同期しなければ大して意味はないです。

 つまり、スマホで撮影したという要素は、特に良い効果をもたらしてるとは思えないんですね。勿論、スマホでも映画を撮れるんだ、というアピールにはなるでしょうが、この監督は別に素人ではないはずだし、映像的な必然があればちゃんとしたカメラで撮ればいい。要は、既成の何か(今の日本映画界?)に反発したいという動機だけ。…それが面白さに繋がってないのだとすれば、ただの作り手の自己満足にしかならない、と思うんですけど。

 脚本も、反抗心の強い監督にしては保守的というか、説明台詞が意外と多いです。作品を彩るヤンキー要素も、最後の化け物とは特に関係が無い(!)。暴走族やら、入れ墨の男たちのフルチンやら、残酷な乱闘やら、強姦と強盗殺人etc…チンピラ兄弟に感情移入できないので、こういった面白そうな要素も特に盛り上がらず。世間に対するルサンチマンでもあるんかいな、この監督。或いは劣等感か。

 乱闘シーンの編集は上手いなぁと思いました。ヘドローバの造型が作り込まれていたのも良かったです。この監督のヤンキー体質を否定する気はありませんけど、自分を大きく見せたいが故の威嚇のようなメッセージも少し感じましたね。でも個人の力なんて些末なものですよ。集合知を舐めちゃいけない。「厳かで芸術的なもの」から学ばず反発しても、面白いものなんて作れませんよ(エラソーだな、私も(^_^;))。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

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