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君の名前で僕を呼んで (2017)

CALL ME BY YOUR NAME

監督
ルカ・グァダニーノ
  • みたいムービー 2,029
  • みたログ 2,573

3.73 / 評価:1660件

なぜ自分の名前を呼ばせたのか

  • kirak1rara さん
  • 2018年4月28日 17時58分
  • 閲覧数 9091
  • 役立ち度 74
    • 総合評価
    • ★★★★★

アカデミー賞は逃したが、2ヶ月近く公開を待ち望んでいた作品。
今年観た映画で今のところ1番の良作だった。
全体的に静かで落ち着いた映画なのだが、ティモシー・シャラメの内に秘めた熱い演技が素晴らしかった。

1983年、イタリアの田舎で過ごすつかぬ間の夏休み。大学教授の父と翻訳者の母にお手伝いさん付きで、優雅に過ごす17歳の少年。
ネットやスマホもないなか長い夏休みの過ごした方はピアノに編曲、読書、プール、たまに夜遊びとなんとも羨ましい限り。
誰もがこんな夏休みを一回は過ごしてみたいと思うだろう。状況は違うが夏休みを田舎のおばあちゃんの家で過ごした懐かしさと、非現実な特別感が終始美しい映像と共に漂っている。

近年よく題材に上がるLGBT作品は何作か観てきたが、初めて嫌悪感なく肯定的に観ることが出来た。
そしてまさかティモシー・シャラメ演じるエリオに感情移入して観ることになるとは思いもしなかった。エリオには彼女のような存在の女の子もいたため、実際にはゲイではなくバイセクシャルになるのかもしれないが、そんな言葉はどうでもよく、ただひとりのオリバーという人間を愛しただけだった。
映画を観ている途中で、もしこれが普通に男女の恋の話だったらどうなっていたのだろうかと考えた。美しいひと夏の恋として成立するだろうが、こんなに人を愛することが切なくて苦しいものだとは気付かなかったかもしれない。

エリオは両親の血を受け継ぎ、博識の少年だった。
オリバーは尋ねる。
“Is there anything you don’t know?”
ー君が知らないことはある?
エリオが答える。
“I know nothing, Oliver. If you only knew how little I know about the things that matter.”
ー大事なことは何も知らないんだ。

こんな曖昧で切なくて美しい表現がこの映画には満ちている。
エリオの父はローマ考古学を研究しているが、その時代は同性愛に偏見がなかったとされている。だからこそ父は理解がありエリオの気持ちに寄り添うことが出来たのかもしれない。
ラストのティモシー・シャラメの圧巻の演技に、エンドロールは誰も途中で立ち上がれないだろう。そしてまたエリオと共に表示される
“call me by your name”
意味を理解していないとなかなか覚え辛いこのタイトル。
男女ではお互いを自分の名前で呼び合うことはしないだろう。男女はやがてひとつになり、自分の分身である子どもを新たに授かることができる。人は生まれてきたときから自分の運命である片割れを探していると言うが、それがこの2人にとってはエリオとオリバーだったのかもしれない。だからオリバーはエリオに対して自分のことをエリオと呼ばせた。そうしてようやくひとつになり、満たされたのだと思った。
午後に鑑賞し、すぐその日のレイトショーで観に行こうかと思ったが、また“later”観に行こうと思う。

詳細評価

物語
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