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ファントム・スレッド (2017)

PHANTOM THREAD

監督
ポール・トーマス・アンダーソン
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3.52 / 評価:711件

自然でまともなものは何もないゲームの世界

  • yab***** さん
  • 2019年4月15日 20時05分
  • 閲覧数 1221
  • 役立ち度 1
    • 総合評価
    • ★★★★★

 完璧主義の天才仕立て屋レイノルズ。朝起きると鼻毛を切り、耳毛を切り、身支度をきちっと整える。その几帳面さで高級婦人服の仕立てをする。華麗なオートクチュールの世界の中、彼の地道な作業が異質な世界を形作る。
 その異質な世界は、彼のモデルとしてその後妻になったアルマとの生活で鮮明になる。

 「他人からの期待や思い込みによって苦悩が生まれる」。
 そう言い放つ彼に対して、献身的に尽くすアルマ。しかし、せっかく紅茶を煎れたアルマに対して、彼から次の言葉が返ってくる。
 「紅茶を下げても邪魔された事実は残る」。

 彼の完璧主義が映像に極度の緊張感を与えるが、その分アルマの存在、高級服の仕立ての現場によって、耽美な世界も覗かせてくれる。
 やがてアルマは、この完璧で異質で耽美な世界をこう評するようになる。
 「自然でまともなものは何もない。すべてがゲーム」。
 そこで彼女は、彼を自分に振り向かせる非人道的な常套手段を考えつく。それは彼の完璧主義を弛緩させる究極の選択でもあったのだ。

 『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』でダニエル・デイ=ルイスを起用したポール・トーマス・アンダーソン。ダニエルの引退に花を添える彼の見事な美の演出。『ザ・マスター』の主演のホアキン・フェニックスをも暖かく包み込んだジョニー・グリーンウッドの美しい音楽。
 そして、この作品で飛躍的な成長を遂げたアルマ役のヴィッキー・クリープス。
 肩幅が広くて、胸が小さいアルマのコンプレックスを、その絶妙な仕立てで美しいミューズに変身させたレイノルズ。そのふたりの愛の行方が、ポール、ダニエル、ヴィッキー、ジョニーのカルテットの調べで、見事に彩られていく様が素晴らしい。

詳細評価

物語
配役
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