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15時17分、パリ行き (2018)

THE 15:17 TO PARIS

監督
クリント・イーストウッド
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3.50 / 評価:2,371件

解説

クリント・イーストウッド監督が、2015年8月に高速鉄道で起きた無差別テロ事件を映画化。列車に乗り合わせていた3人のアメリカ人青年がテロリストに立ち向かう姿を描く。事件の当事者であるアンソニー・サドラー、アレク・スカラトス、スペンサー・ストーンを主演俳優に起用し、当時列車に居合わせた乗客も出演。撮影も実際に事件が起きた場所で行われた。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

2015年8月21日、554人の客が乗るアムステルダム発パリ行きの高速鉄道タリスに、武装したイスラム過激派の男が乗り込み無差別テロを企てる。乗客たちが恐怖に凍り付く中、旅行中で偶然乗り合わせていたアメリカ空軍兵スペンサー・ストーンとオレゴン州兵アレク・スカラトス、二人の友人の大学生アンソニー・サドラーが犯人に立ち向かう。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

(C)2018 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC., VILLAGE ROADSHOW FILMS NORTH AMERICA INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC - - U.S., CANADA, BAHAMAS & BERMUDA (C)2018 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC., VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT INC.
(C)2018 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC., VILLAGE ROADSHOW FILMS NORTH AMERICA INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC - - U.S., CANADA, BAHAMAS & BERMUDA (C)2018 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC., VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT INC.

「15時17分、パリ行き」テロ映画というより青春ロードムービー。普通の若者たちが辿る運命の魔訶不思議

 巨匠中の巨匠クリント・イーストウッドが2015年に発生したテロ事件の実話を映画化――。一文字も間違ってないが、「イーストウッド×テロ」みたいな気持ちで観ると劇場で戸惑うかも知れませんと忠告させてください。かくいう筆者も最初は大いに戸惑ってしまったからだ。

 事件はアムステルダムからパリに向かう高速列車の車中で起きた。一人の武装テロリストを、たまたま乗り合わせたアメリカ人青年3人(うち2人は軍人だった)が取り押さえたのだ。イーストウッドは当事者の3人を主演にキャスティング。さらに事件で負傷した人やその妻など実際の関係者を極力呼び集めた。もはやイーストウッド御大による“映画史上最も豪華な再現ビデオ”である。

 ただし本作はポリティカルでもなければスリラーでもない。イーストウッドが掘り下げているのは、主人公3人が決して非凡な人生を過ごしてきたわけはなく、ボンクラ感の強い普通の若者だったという生い立ちなのである。

 彼らは小学校の同級生で、サバゲ―オタクのいじめられっ子だった。それで性根が捻じれてしまっていたら銃乱射事件を起こす予備軍のように色眼鏡で見られていたかも知れない。ところが物語の中心となるスペンサー青年は、何か人の役に立ちたいと空軍の人命救助部隊に志願するのだ。

 ところが入隊したからといってヒーローになれるわけじゃない。スペンサーは挫折を繰り返しながらも地道な努力を重ね、ある夏休みに「みんなでヨーロッパ旅行しようぜ!」と親友たちを誘う。本作のメインは、テロ事件よりも彼らの“旅行”そのものなのである。

 自撮り棒でSNS映えする写真を狙い、遊覧ボートで知り合った女子とご飯を食べ、アムスのクラブで踊りまくるボンクラ3人組。しかも演じているのは本人たち。観客が「なんでこいつらがはしゃぐ姿を観ているのか?」と首を傾げるのも当然だろう。

 しかしわれわれは現実に目にしているものを信じるべきなのだ。イーストウッドが延々と彼らが遊び惚けている姿を映すのは、それこそが監督が思う最良の手段だから。未曽有の大惨事になっていたかも知れないテロ事件を阻止したのは、たまたまいつか人の役に立ちたいと願っていたごく普通の若者たちだった。神の采配か、できすぎた偶然なのかはわからない。

 よって本作は、テロ映画というより青春ロードムービーになっている。夏休みの休暇旅行が、彼らの人生の、そして世界中にとってのハイライトになった。そんな運命の魔訶不思議を、この人のいい3人組と一緒に体感するためにこの映画は存在しているのだと思う。(村山章)

映画.com(外部リンク)

2018年2月22日 更新

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