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ミスミソウ (2017)

LIVERLEAF

監督
内藤瑛亮
  • みたいムービー 134
  • みたログ 967

3.17 / 評価:844件

稀に見る清々しい程の凶暴性、徹底した美学

  • i_seraphim さん
  • 2020年3月19日 22時37分
  • 閲覧数 2044
  • 役立ち度 2
    • 総合評価
    • ★★★★★

韓流サスペンスを見慣れたかなり鈍感な感覚の持ち主でも仰天するぐらいの徹底した暴力性
とにかく人が死ぬ常軌を逸した展開
でも見始めたら最後途中で視聴をやめることができない
そのぐらい作品に勢いがある

細部をよくよく考えればきっかけになった火災の時点で警察が動いていないのがオカシイんだけど、後知恵でそんなことを考えるのもバカバカしくなるぐらい勢いが凄くて圧倒されてしまう

各シーンに横溢するエネルギーがとにかくすごい
外形的に見れば陳腐でよくある安っぽくて途中でウンザリするような映画になりかねない要素満載なんだけど、緊張感とカタルシスのリズムに優れた緩急ある演出と登場人物の配置やキャスティングのバランス感覚の良さ、とりわけ主演の山田杏奈さんのお芝居が異常な状況や関係性に妙な説得力をもたらしていてエンディングまであっという間
この人が出ている作品はこれからも見てしまうだろうと思う
おそらく天性のものなんだろうと思うけど彼女が持つ独特の自然な佇まいは異常な状況の中でも際立っていた
キャスティングの勝利だね

監督の映像へのこだわりが感じられたのも楽しくて、どのシーンも鮮烈なイメージに満ちている
真っ白い雪景色に映える主人公の赤いコートや惨劇で流された鮮血が印象的で、とりわけ雪の中出かける白一色でコーディネートしたイジメの首謀者もこれは血の色を際立たせるための色彩設計ですよ、と言わんばかりでワクワクさせられたり
原作の時点でこういったイメージ作りはされていたんだろうけど、それを実写映画化するときにしっかりと汲み取って充分な精度で再現できているのだろう

終盤になってやっと序盤の火災のシーンの顛末がわかるんだけど、あんなかたちで火災が発生していればまず消火に来た消防署員が異常な発生機序に気づくだろうし、その後の検死の過程でクロスボウの矢が刺さった父親の死体で確実に警察が動き、クロスボウを持っている人物がすぐに特定される
何の連絡もせずに帰宅しない子が何人も出て親が騒いでいるのに山奥でもなくわりあい近所に野晒になっている死体に誰も気づかない
殺害後ほんの数時間で死体も鮮血も現場への足跡も雪で覆われてしまうにしてもあれだけ雪が降っているのに捜索も行なわれないのはやっぱり変
でもどうでもいいんですよ、そんなことは
面白ければいいんです
極論かもしれないけどここまで振り切ってる映画にそういう御託は無意味

人間、生きていれば残虐で不条理な世界に疲れることもある
そういう鬱積したものをサクッと解消してくれる作品って作りづらいご時世なのでこういう映画は貴重
大人の世界が舞台だとコンプライアンス的なアレヤコレヤだの考えることが多くて面倒臭いんだけど、そもそも暴力性むき出しの子どもの世界だからこそ逆にカタルシスが純粋なものになっている
昔の漫画みたいな剥き出しの残虐性がむしろ清々しい

これだけグロテスクなシーンの連続なのに嫌な後味を残すようなドロドロした感じがないのはエロス的な要素がほぼ皆無だからだろう
残虐なんだけどトラウマになるような後々引きずってしまう要素は皆無だし、丁度いい匙加減のリリシズムも視聴後の印象を良くしている

俺的にかなり面白かった
超スパイシーな良い方の残酷ポルノっていう感じか
そんなものあるのか知らないけど

詳細評価

物語
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