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アウトランド

アウトランド

OUTLAND

109

ali********

4.0

ボイジャー探査機にもとづく?社会派SF

木星の衛星イオで、疲れた鉱山労働者に麻薬を持ち込んで儲ける暴力組織があるが、会社は採掘の成果にしか関心がない。遠く離れた「アウトランド」には地球政府の権威は及ばず、偶然派遣された保安官だけが、麻薬犯罪と戦うことになる。気の毒なことに、妻子は耐えられずに地球に帰ってしまう。 もちろん、保安官の戦いの作戦と、それを助ける誰か、というあたりが見所だ。 「真昼の決闘」(★レビューしています)は、照り付ける乾いた太陽が残酷だったが、こちらは、太陽の光も弱い宇宙で、暗黒の地下に鉱山のライトが光るという設定で、まことに暗い。 しかも、運悪く(?)、ちょうどアメリカの無人宇宙船ボイジャー【注】が木星を探査した頃だった。当時ボイジャーが撮影した写真は新聞にも載ったが、地球から見るよりもっとまがまがしい木星の大赤斑や渦と、赤茶けた衛星イオには目を奪われた。私も、「宇宙というのは実際に行ってみると、厳しそうだなあ」と驚いたものだ。「アウトランド」は、この探査をもとに、災いを予言するような巨大な木星とイオの映像を作って、舞台にしている。 (ちなみに、「2001年宇宙の旅」★の木星は、ボイジャー以前なので美しい。) 厳しい環境で、やりたくない仕事を遂行する保安官とその協力者をテーマにした映画だ。ここまで暗い映画は、監督にとっても楽しくなかったのではないか。それでも、「社会派リアリズム」も好きな私としては、法秩序の及ばない社会での犯罪を描く異色SFという点と、木星やイオを映像化した功績とを加えて、4点の評価にしたい。 【注】のちに、映画『スタートレック』(6作シリーズの第1作)で、自己意識を成長させて人類とエンタープライズ号を襲うという興味深い話にされている。

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