私見ですが
- ぼんおう さん
- 2019年7月15日 23時52分
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- 総合評価
事実に基づくストーリーということで、兵士とその家族(本作でのメインは主役のアダムと、同じ部隊のビリー、トーソロ(字幕ではソロと表記)の三組)が受ける戦争の傷がリアルに描かれています。
個人的に特に興味深かったのが、他の二人、アダムとビリーとは基本ベクトルが違う理由で苦悩するソロ。
戦場に生きがいを求めるも、負った脳機能障害で「肩を叩かれ」、二度とあそこに戻れないのではないかと苦しみ、FPS(ファースト・パーソン・シューティングゲーム)で精神的自慰にふける姿はあまりにも哀れでした。
戦場の刺激中毒、ドーパミンの奴隷に成り果てていたソロが、使い捨てられた瀕死の闘犬を救い、息子も生まれる。いわばオキシトシン的な真の幸せを得るくだりは、ここも事実に基づくんでしょうか。
作者の意図はどうか知りませんが、私はこのあたりも本作のメッセージであるような気がします。
序盤、被弾しアダムに救助されるも、「彼のせい」で結果、左半身不随の障がい者となったエモリー。
介護者なしでは生活できなくなったエモリーですが、「あたりまえ」だと思っていた身体機能が失われたことで「あたりまえ」のありがたさに気づき、不遇を嘆き腐るどころか命があることに感謝し、前向きに生きている姿は印象的でした。
自らの判断がエモリーに重傷を負わせることになり意気消沈するアダムを慮って任務を代わり、結果死ぬことになってしまった戦友のドスター。
彼の死に負い目を感じ、自身のトラウマ治療の機会を蹴ってソロにペイフォワードするアダム。
戦争は人の醜さのみならず気高さをも顕現させますね。
(だからと言ってそれを理由に戦争を肯定、まして賛美するような輩には反吐が出ますが)
百年先とは言わないまでも、いつか人の幼い意識がもっと進化し、戦争を辞められる(戦争以上に合理的で実効的な紛争解決の手段を創造する)日が来ることへの私なりの祈りとして、ここに小さな種(レビュー)をひとつぶ蒔いておきます。
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