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検察側の罪人 (2018)

監督
原田眞人
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  • みたログ 1.1万

3.74 / 評価:9935件

ハリボテな印象を受けた理由を考察

  • chi******** さん
  • 2021年4月19日 13時58分
  • 役立ち度 2
    • 総合評価
    • ★★★★★

時効で、罪に問えない殺人犯(松倉)を
検事(最上)が、自分が犯した殺人の罪を着せ
松倉を殺人罪で死刑にしようとする話。

後輩検事の沖野(二宮和也)が
強引過ぎると不審を感じ、最上を追い詰める。

最上の動機は
松倉が殺害した女子高生と知り合いだったから。
最上にとっての正義とは
罪を犯した者は必ず裁かれなければならない。
時効で罪に問えないのであれば、不都合な証拠は隠滅し
都合のいい証拠を捏造して、冤罪をでっち上げてでも
法の裁きを受けさせることだった。

沖野の尽力により、松倉は無罪となるが
無罪祝賀パーティを開くが、交通事故にみせかけて殺害される。

最上は、沖野を呼びつけて、手帳を見せ
いかに自分が巨悪と戦っているか説明すると
「俺の正義の剣を奪うことが、それほど大事か!」と恫喝する。
が、沖野は、「真実を追い求めるだけだ」と言い残し
なぜか、絶叫して、エンド。

映画では
沖野の正義(真実こそが大切)はブレていない。
最上とは、真逆の考え方なので、絶叫するはずがない。

最上が、まだ検事というのも、おかしな話で
起訴までされた松倉が、無罪になるためには
物的証拠が捏造されたものだと証明する必要があるはずで
そのためには、最上が逮捕されるくらいのことがなければ
と訝しく思い、調べたら・・・

原作では
沖野が、週刊誌に最上と松倉の因縁をリークし
その結果、最上は逮捕されているらしい。
松倉も殺害などされていないらしい。

無罪になった松倉がパーティを開き
無罪にするために奔走したのに
沖野が松倉に罵られる所までは同じだが
こんな奴のために、最上を逮捕にまで追い込んだと
悩み始め、最上の正義が正しかったのではないかと
沖野の正義がブレ始め、結果、最上を弁護したいと申し出る。

映画では
木村拓哉を逮捕させる訳にはいかなかったのか
途中で、ぶった切り、松倉を車で轢き殺すという改変を加えたため
薄っぺらい印象になってしまった。
裁かれない悪(松倉)があるから、原作では、沖野の正義が揺らぎ
読者の心も揺れるのに、そこを変えてどうする?

原作には遠く及ばない。
原作ファンは、失望したのではないだろうか。

しかし、原作においても
最上の歪んだ正義には、自分は全く共感できない。
証拠の捏造や、隠滅を故意に行って良いはずがない。
が、防ぐ術がないので、恐ろしいとしか言いようがない。

最上の動機が弱いことも気になる。
松倉に殺害された被害者は妹でも恋人でもなく、単なる知り合い。
敢えて、そうすることで、最上の正義感からだと強調したい
意図は読めるが、強引すぎる。

そこまで共感性が高ければ
事件で係わっただけのほぼ見ず知らずの被害者でも
真犯人が法で裁けないと分かれば、殺すはずで
職業柄、莫大な人数の殺人を犯さなければならなくなる。

松倉の方ではなく、真犯人を殺害し、その罪を着せるというのも
かなり陰湿な復讐のためか保身のため。
死刑なるまでの間、精神的に苦しめたいとか
直接、殺害するには、起訴を諦め、釈放後、手を下すことになる。
起訴できないことで面子がつぶれるから、とか
確実に自分が疑われて逮捕されるから。

正義の名の下、法で裁くことにこだわった事にしたいのだろうが
成就したとしても「自分が犯した罪」をなすりつけただけ。
そんなことをして平気な奴が、正義を語るなと言いたくなる。

終盤は映画オリジナルだとは思うが
呼びつけて、恫喝するのも、偉そうな印象しか与えない。
犯行をほのめかすのも、反省していない証拠だし
本当に庭に死体が埋まっているのに
庭を掘り返せば死体が出てくるかもなと、うそぶく。
殺人を犯しておきながら、まだ検事を続けるつもりなのか?
どんな巨悪に立ち向かっていようが、検事であろうが
犯罪を犯せば関係ない、法律に則って裁かれなければならない
という考えを最上は、まったく持っていない。
検事という立場を利用したサイコパス。

映画の沖野については共感できたが
原作の沖野については、微妙だ。

いくら、沖野のおかげで無罪になったとは言え
もう少しで、無実の罪で死刑にされかけたのだから
喜んで当たり前だし、ひどい見込み捜査をしたのだから
罵倒されて当然。
もし逆の立場なら、余罪があったとしても
無実の罪で死刑になりたくはないだろう。

結局の所、助けてやったのに感謝されなかった。
というのが不満の本質で
こんな奴のために自分は何をしていたのか?
最上の正義が正しかったのではなかったか?とは
自分であれば思わないから、弁護など申し出ない。

ただ、自分のミスを償っただけ。
頑張ったけど、相手に許してもらえなかっただけ。
正義がブレることはない。
が、気持ちはわからなくもない。程度の共感は感じる。

最上と比べれば、遥かにマシなので、色々考えさせられる。
そういう要素が映画版では皆無なので
ハリボテのような印象を受けた気がした。

詳細評価

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