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ボストン ストロング ~ダメな僕だから英雄になれた~ (2017)

STRONGER

監督
デヴィッド・ゴードン・グリーン
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3.43 / 評価:307件

解説

『ナイトクローラー』などのジェイク・ギレンホールがプロデュースと主演を務め、ボストンマラソン爆弾テロ事件の被害者の実話を基に映画化。テロに巻き込まれ両足をなくした主人公が、さまざまな苦難を乗り越えていく姿に迫る。ドラマシリーズ「オーファン・ブラック 暴走遺伝子」などのタチアナ・マズラニーが主人公の元恋人を演じ、『愛しすぎて/詩人の妻』などのミランダ・リチャードソンらが共演。メガホンを取るのは『セルフィッシュ・サマー』などのデヴィッド・ゴートン・グリーン。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

ボストン在住のジェフ・ボーマン(ジェイク・ギレンホール)は、別れた恋人のエリン(タチアナ・マズラニー)とよりを戻すため、彼女が出場するマラソンの会場に行く。だがゴール地点近くで爆破テロが起き、彼は両足を失ってしまう。昏睡(こんすい)から目覚めたボーマンは警察に協力し、そのおかげで犯人の目星がつく。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

(C)2017 Stronger Film Holdings, LLC. All Rights Reserved. Motion Picture Artwork (C)2018 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.
(C)2017 Stronger Film Holdings, LLC. All Rights Reserved. Motion Picture Artwork (C)2018 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.

「ボストン ストロング ダメな僕だから英雄になれた」人間の弱さを徹底して描き、〈強くなる〉ことの尊さを際立たせる

 2013年のボストンマラソン爆弾テロ事件を題材にした先行作品に、マーク・ウォールバーグ主演の「パトリオット・デイ」がある。事件の経緯を主人公の警官を含む捜査側と犯人側の視点を交えつつサスペンスフルに描く同作に、両脚の膝から下を失う重傷を負いながら目撃証言で捜査に貢献した青年が登場する。その当人、ジェフ・ボーマンが2014年に出した回顧録を映画化したのが本作で、映画の原題は原作と同じ「Stronger」。

 「ストロンガー」と聞くと、ケリー・クラークソンの最大のヒット曲(2012年のビルボードランキングで3週にわたり1位)を思い出す。同曲のサビに「What doesn't kill you makes you stronger(死ぬほどつらい逆境が あなたをもっと強くする)」という一節がある。これはニーチェの著作「偶像の黄昏」から引用したフレーズで、「ボストン ストロング ダメな僕だから英雄になれた」の主題にもぴたりと重なる(ボーマンと共著者ブレット・ウィッターが、アメリカ人なら誰もが知る大ヒット曲と同じタイトルを選んだのは偶然ではないだろう)。

 邦題にある通り、映画のジェフは相当ダメな27歳だ。仕事のミスを言い訳し、デートは遅刻とすっぽかしばかりで、元恋人のエリンと3度別れている。未練たっぷりのジェフは、ボストンマラソンで走るエリンを応援しようとゴール地点で待っていて、爆発の衝撃を間近で浴びてしまう。

 自ら立ち上げた製作会社の第1作に本作を選んだジェイク・ギレンホールはプロデューサーも兼ね、両脚を切断する悲劇に見舞われた青年を、特に精神面の弱さと葛藤を強調して演じてみせる。世間から英雄視される陰で、患部の激痛、事件のトラウマ、不自由な生活、つらいリハビリに苦しみ現実逃避してしまう弱さが、ギレンホールによって繊細に表現され、観客の心を揺さぶり続ける。

 「スモーキング・ハイ」などフィルモグラフィーにコメディが目立つデビッド・ゴードン・グリーン監督は、ジェフがエリンと家族、友人らに支えられ、衝突や挫折を経て再起のきっかけをつかむまでを、ささやかなユーモアを添えつつ丁寧に描く。弱さ、ダメさをじっくり見せるからこそ、それを克服して〈強くなる〉ことの尊さが一層輝きを増す。

 ニーチェの言葉に通じる「逆境を経験することで強くなる」という真理は、一個人に起きることだけを指すのではない。より強くなって立ち上がる人の勇気が他者を鼓舞し、さらに大勢へと波及する力を持つことを映画は伝えている。(高森郁哉)

映画.com(外部リンク)

2018年4月26日 更新

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