『ONE CUT OF THE DEAD』だけで席を立つな
- きよプー さん
- 2018年7月29日 1時47分
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- 総合評価
私がこの作品を知ったのは今年(2018年)に入ってからの事なのですが、それでも大好きなホラージャンル作品ではあるものの、監督も脚本もキャストも全くの無名、内容も「超低予算のゾンビ映画」位にしか見ていなかったので、あまり期待していなかったというか、時間が合えば観に行ってみようかなと思う位の感じでした。
それが、公開されると同時に、評判があれよあれよと上がってきたらしく、各映画祭などで受賞したり、レビューサイト等で高評価を受けたりしだしたので、「何の騒ぎ?」と思っていました。
実際、私が観賞した回も含め、上映スクリーンでは(まだ公開が始まっていない劇場も多いせいもあってか)毎回ほぼ満席で、一緒に観たビッグタイトルの他2作品よりも断然観客が入っている状態でした。
で、内容ですが、出だしは本当に低予算の自主製作映画といった作りで、40分弱(37分だったかな)のどう見ても素人に毛の生えた感じの粗の多い映画で、そのままエンドロールまで行っちゃうので「あぁ、やっぱこれ位なのね、でもどうしてこれで評価が高かったんだろう?」と思いながらも(毎回どの映画もエンドロールを最後まで観て退出するのですが)そのまま観ていると、「1ヶ月前」と文字が現れそのゾンビ映画の前日譚及びメイキングが始まったのです。
この第2部(と言っていいのか?)が面白い。
初めは単なるメイキングかと思いきや、なぜあのシーンはこういう演出になったのか?キャストの微妙な演技の下手さの理由、見切れるチープな仕掛けや唐突な展開の訳、等といった本当は、相当綿密に計算された構成で、映画好きの方なら(特に映画作りに興味がある方なら)とても楽しめます。
この脚本には脱帽です。
私などは、実際の撮影は本編(劇中内映画)とメイキング、どっちから撮ったんだろうと、変な観方をしてましたが(その謎は本当の(というかこの作品全体の)エンドロールで明らかになりましたw)、後半になるに連れて、上映中のマナーを促されるまでもなくいつも静かな周りの観客も歓声が上がり、最終エンドロールの後には拍手も起きた程でした。
良い意味で裏切られる作品です。
最初のを観終わっただけで、席を立たないでください。
この作品はこの劇中内映画が終わった後から始まります。
そして、全てを観終わった後にこの『カメラを止めるな!』というタイトルの、幾重にも掛けられた本当の意味を知る事が出来ます。
低予算でもやはり脚本が面白いと、構成(監督)が上手いと良い映画は出来るものなんだなと再確認させられる映画でした。
2018年上半期では断トツに面白い作品です。
機会があれば是非!
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