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チャタレイ夫人の恋人 (2015)

LADY CHATTERLEY'S LOVER

監督
ジェド・マーキュリオ
  • みたいムービー 4
  • みたログ 29

2.86 / 評価:22件

人の上に人をつくらず

  • sun***** さん
  • 2019年1月18日 14時16分
  • 役立ち度 2
    • 総合評価
    • ★★★★★

原作の小説が出版されたのは今から約100年前、1920年代後半。
この物語に描かれるような階級格差が当たり前だった時代だ。
当時充満していたイギリス国民の理不尽な苦しみや怒りが、階級違いの男女の恋愛を通して生々しく訴えかけてくる。

ストーリーは冒頭から炭鉱爆発事故、クリフォードとコニーの出会いから結婚、クリフォードが戦争出征で下半身を負傷して帰還するまでが駆け足で展開していく。

そこから、炭鉱の経営者で上流階級のチャタレー夫妻と、チャタレー家の森番として雇われ後にコニーと不倫関係になるメラーズ、さらに物語のキーパーソンとなる使用人の若い女による、戦争と階級格差が引き起こした悲しい愛憎劇が繰り広げられていく。


本作以外にも過去に何度となく映画化されてきたチャタレー夫人だが、原作が出版された当時は階級制度への批判とあまりに過激な性描写が問題視され、卑猥文書として裁判を起こされるほどだったそうだ。

日本では1935年に一部の性描写を修正したものが翻訳出版され、1950年には無修正版が出版されるが警察に摘発され絶版まで追いやられた経緯があったようだ。

権力によって理不尽に虐げられた人々は、小説の中だけに存在するのではない。
当時この小説が出版にたどり着くまでに、どれだけの人が苦しめられただろうか。今でこそ表現の自由や言論の自由はすべての人間の権利として与えられているが、それでもなお理不尽な権力は存在し続けている。

「上流階級」や「労働階級」といったあさましい言葉が日常的に使われ、同じ人間であるにも関わらず身分を区別され、さらには肌の色や人種による差別も当たり前のように横行していた時代。そんな時代であっても、男と女が愛し合うとき、そこに格差などあるはずがない。着飾ったドレスでもボロボロのシャツでも、それらを脱いで裸になった途端に皆同じ人間なのだ。人に格差など最初からないのだ。そのことを作者は、身分違いのコニーとメラーズが選んだ恋の結末によって訴えているのではないか。


俳優陣の演技が見事で、どの役もそれぞれに苦しみを抱えて生きる様がこれでもかというほど伝わってくる。
特に使用人の女が亡き夫への思慕をコニーに赤裸々に語るシーンには圧倒された。

もしもこの世に階級格差などなければ、もしも戦争などなければ、クリフォードが下半身を負傷することもなく、コニーが不倫に走ることもなく、誰も悲しい負の連鎖に巻き込まれる必要などなかった。戦争と格差がこの世から根絶されることを願わずにはいられない。

それにしても、約100年前の小説に描かれた苦しみが現在でもなお世界中のそこかしこで根深く残っているとは、、人間とは悲しい生き物である。

詳細評価

物語
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演出
映像
音楽

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